当たり前のことを
当たり前じゃないレベルで
株式会社
ファイブスプリングス
代表取締役
太田 薫
はい、幼稚園からずっと野球をやっていたので、スポーツに関することをやりたいという思いはありました。
高校の時にとても努力した自信があるんです。でも僕より努力をしていない人よりも上手くなれなかった。そのときに何か違うんじゃないのかなって感じました。
それで早稲田のスポーツ科学部に入り栄養学を学びました。
栄養学を勉強するとトレーニングした後にどれだけ素早く栄養をとるとか、どういう栄養をとるかというので筋肉の発達が全然違うということがわかりました。
そういうことを僕は高校のときに学ばずに、なんとなくトレーニングしてなんとなく栄養を取っていたので思うように体が作れなかったのかな、ということがわかって「おもしろいな。やっぱりなんとなくやってることでも、ちゃんと理屈を解明すればもっと伸びるものってあるな」と思いました。
店舗さんもそうだと思うんですよ。「売上上げたい!」ってどの店舗さんも思っていて、みんな夜中まで働いてるんですよ。でもうまくいかない店舗さんって、やっぱりやり方が違ったりするとか、努力の方向性が違うとか、そういうのがあると思うんですよね。
努力しているのが報われないっていうのが嫌っていうのもあります。
頑張る人が報われないっていうのがかわいそうで。
ネットで何かをやりたかったからです。
ものを売るにしてもサービスを展開するにしても、今後ネットを使うことがすごく重要だと思っていました。
僕は新潟の田舎の出身なので、物も買えなければ情報も入ってこない状態でした。
ですのでネットというツールを使って発信するすべを学びたかったのはありますね。
僕はずっと長期的なことは考えてこなかったです。
その後どうなりたいとか、どういうステップを踏みたいとか一切考えてなかったです。
とにかく今、目の前にあることを誰よりも一番完成度高くやるっていうことしか考えてなくて。
今やれることを全力でやっていたら学べることも多いし、そしてそれが次のステップにつながるし、やりたいって思った時にパワーがついてるし。 今もほとんど考えないですね。目の前にあるやらなくちゃいけないことや、やりたいことを全力でやります。
そうですね、資金のことや先行投資の見通しを考えると大きい目標はたてなくちゃいけないんで5ヵ年計画とかは立てますけど。 それよりも今目の前にいるお客さんにどれだけ買ってもらうか、お客さんをどれだけ集めるか、どれだけリピートで戻ってきてもらうかを考えますね。
転職先は楽天のときに担当していた店舗さんです。
まだ売上なんて数百万円で数人で運営している状態なのに「日本一になるぞ」ってずっと言ってて。
そのときにその店舗さんがすごい頑張っていたし、誰よりも考えていて、面白いなって感じて一緒にやってみたいと思い転職しました。結果、今は楽天でもSOYを取るようなトップを走る店舗に成長しました。
そうです。楽天での仕事も楽しかったのですが、こっちの方が面白そうだなという気持ちでした。
次のステップを考えたら楽天にいた方がいいかなという気持ちもありましたけど、そんなの関係なく行ってみたい、ここで一緒に運営してみたいという気持ちが強かったです。
はい、社長とはタイプが全然違うんです
社長は開拓者精神があるけれど、僕はサポートが得意だったんで、これなら絶対色々なことが形にできると思っていました。
その当時はもう、予想以上に大変で、四六時中売上のことを考えていました。
全部自分でやっていかなくちゃいけない。ルールを自分で作って、採用も自分でやって、育成して、売上げたてながら利益だしてお金まわして。
目指している目標が高いので、課題も多くやれることも多く、毎日朝から夜中まで仕事していました。
今それがとんでもないパワーになっているから、振り返るといい経験だったと思います。
想像できていなかった部分なんで、とんでもなく大変で忙しかったですね。
そうですね。その社長は絶対にあきらめない。全ては日本一になるまでの過程の問題なので絶対解消できると常に言っている人でした。例えばユニクロとか楽天とかも、絶対にそこを経てきてるから、人間が解消できている問題だったら、俺達にも絶対できるっていうことをずっと言ってました。
その精神を叩き込まれたので、今でも問題を問題として捉えないですね。
お金がないとか人が育たないとか、他の人が諦めてしまうところで、諦めずに解決策を考えるだけのこと。 絶対にできる、できている人達がいるという考え方を植えつけられましたね。
僕は元々すぐにあきらめるタイプでした。何か問題があるとすぐ頭で考えて違う解決法がないかとか、そこは諦めて違うところでプラスマイナスゼロにすればいいかとか考えちゃっていました。社長は絶対それはしなくて、一本筋で問題は全部解消していくっていうやり方でした。
そうですね。超えられない壁はないというのは実感しないと分かりません。話に聞くだけじゃあきらめてしまいます。
僕一人だったら多分逃げてばかりいたんですけど、表現はよくないですが強制的にやらされてたっていうのはすごく良かったと思います。
どうした?ってすごい言われました。僕はプライドがあったんで、正直嫌でした。恥ずかしいっていう思いもありましたね。大きいところじゃない、無名のところにいく。で、給料も下がっている。
社長についていきたいだけなんで、給料は聞かないで行きました。
給与明細は見ないで奥さんに渡してましたので
「いや、聞いてない」
「いいんじゃない」
ていう笑
年収が3分の1以下になりましたが、それ以上の価値がある経験でした。 今うちに入ってくる子たちとか、血気盛んな子たちにはそういう気持ちは伝えてあげたいですね。
目先のちょっとした環境の良さとか給料が良くなる転職ってほんとに必要なのかどうか。 2、3年我慢すること。まあ、僕もその当時には分からずあとから実感したことですけど。
子供が生まれたからです。子供といる時間を一番大事にしたい。
もともと結婚は仕事が軌道に乗って落ち着くまでは絶対したくなかったです。子供も産みたくなかったんです。自分が子供を優先するっていうのがわかっていたので。でも妻が年上で、早めに子供欲しいなっていうのがありましたから。
それで子供ができたら、やっぱり子供の方を大事にしたいっていう元来からの性格なので、そっちを優先しようと思いました。
常に自分が大事にしたいものを大事にしたいっていう気持ちがあります。働きたければ働くし、転職したければ転職するし。子供といたければ子供といるし。
そうです。
結構かかりましたね。半年くらいほとんど給料はない状態です。
お客さんも持たずに独立したので。ビジネスモデルも考えずに独立しました。
よく「前の会社のつてでお客さん持ってきたんでしょ」って言われるんですけど、全く持たずに独立してるので半年間ゼロですね。
300万くらい赤字ですね。僕貯金なかったので、奥さんの貯金を切り崩して。ほんとに嫌でした。
プライドを捨てましたね。
最初はやっぱり、足使って泥臭く営業するのって嫌だったんですよ。恥ずかしいから。
ただでさえ楽天から無名なところに行って、独立したっぽいよってなってるのに、全然お客さんがいないって、僕は変なプライドがあって、恥ずかしかったです。けれども、お客さんが取れなくて、貯金も切り崩してる状態で。
もともと妻とは半年という約束をしてたので、半年で軌道に乗らなかったらやめなければいけない。でもその半年を迎えそうだったので、泥臭く営業しました。
ランサーズやクラウドワークスは大きい所なのでもともと登録していたんですよ。
でもそれだけだとお客さんはこないので、もっと小さい聞いたこともないようなマッチングサイトも全部登録しました。そうすると、それを友達に見られたりするんです。「お前あんなの登録してんの」とか言われて。でも、しょうがない。
今僕が30万円でやっているコンサルを「結果出さなかったらお金いらない」と言ってやらせてもらったりしました。
結果を出したら9万円くださいと言って、結果を出して9万円もらった店舗さんが4店舗目です。
その店舗さんは、何人もアイミツをとっていたんですけど、僕が一番気合入っているということでやらせてもらえて、結果を出して、今でも続いてます。最初の料金設定が15万円なんですけど、15万円でお客さんと契約できたのなんて1年後でした。
やる事がないんですよ、マッチングサイトに登録しても仕事がないから、家にずっといるだけで、家事とかやってました。 160時間も空いてるわけなんでどんな単価でもお客さんと契約できればいいかなと考えて月額1万円や500円で契約している店舗さんもいました。160時間埋まるまではいくらでもプラスだからいいかなと思っていましたね。
あの時は頭を回転させましたよね。
クラウドワークスやランサーズって、制作代行ばかりあるんですね、コンサルなんてないんですよ。だから考えて。
ページ作りたい人って十中八九、売上上げたいからページ作りたいし、改善したいわけじゃないですか。そういうところにどんどん連絡しました。「ページ作れないですけれども、もし売上上げたいと思っていて、その15万円使おうとしているのでしたら、僕に15万円ください」と。ページを変更しないで売上上げますからというようなやり方をしました。
そういう行動ってお客さんがどんどん入ってきていたらやらない行動だし、考えないことだと思うので。
必死になったらなんでも出来るんだなって思います。
ありましたね。ページを一括改変したいという話からコンサルをさせていただきました。
やっぱりページを変えたくなっちゃうんですよ。売れないと見た目を良くしたいと思う。
でもそれだけでは効果が出なかったり、問題の本質が違ったりということがよくあって。
ページを変えるのも結構高いのでね。
そうですね最初お客さんいない時が一番つらかったですね。
今は人が育たないとか、入らないとか、失敗したとか、お金がちょっと減ってきたとかっていうのは全然苦じゃない。
過程の一つだから。
でもあの半年のお客さんが来ない、しかも立ち上げたばっかりっていうのは、今までで唯一の不安でしたね。
自信も何もない状態なんで。
仲間が来てくれたことですかね、最初の3人は媒体採用ではなく知り合いでした。
もともと取引先で一緒にやってた人が辞めるっていうタイミングのときに、話をしたら共感して来てくれて、ずっと一緒に頑張ってくれてて、会社の中心になってくれてます。
仲間がいるってものすごい嬉しいです。
会社が軌道にのってから、サポート企業様が楽天SOYを受賞していますが、受賞できた要因はなんだと思いますか?
「あたりまえのことをあたりまえじゃないレベルで」やったということです。
それがどの規模の店舗さんもできていない。やるべきことをおろそかにして、そうじゃないことに時間を使ったりしちゃう。 徹底的に足元のことを、やるべきことをやったうえで、もっと飛躍が必要な時にアイデアベースだったりとかとっぴなことが必要なんです。でも基礎なくしてそれは絶対にないんですよ。みんながその基礎をやらないからこそ、簡単じゃないですけどそれをやるだけでも十分に売上って上がっていくんです。
そのやるべきことって明らかなんです。どの店舗さんでも同じことをやらなくちゃダメなんです。
スポーツでいうと、どのスポーツをやってても走り込みをして筋トレをして、メンタルトレーニングをして食事をちゃんととるっていうのは同じじゃないですか。
僕の中ではどんな店舗さん、どんな規模でもジャンルでも7割くらい同じだと思っています。
グルメだからこういう売り方、型番だからこういう売り方、アパレルだからこういう売り方っていうのは3割くらいだと思っているんですよね。
基本の7割をみんなおろそかにして、3割で戦おうとしているから伸びない。
トレーニングしないで走り込みしないで、バットだけ振っていて野球が上手くなるんかいっていう話です。
基礎練です。
すごい単純な事ですね。時間軸と商品軸をどこまで細かく見るかということです。
売上目標あります、売上振り返ります、これをだいたいの店舗さんが月次でまとめてやる。
日次で確認していたら上旬でもしも差分があって軌道修正して中旬以降改善できるものが、月次でやっていたら翌月まで軌道修正できないという話になります。日次でやる店舗さんはかなり少ないと思います。
僕が小売している時は時間単位でやってました。1時間ごとに売上追って、予測を立てておくんですよ。
朝11時の段階でこの売上だったら今日の着地はこうなるから、夜にメルマガ1本プラスしようとか、この商品とこの商品にポイントつけようとか。これは楽天イズムで、楽天って目標の管理を時間ごとにやっていたんですよ。
あれがあるから楽天の急成長があると僕は思っているので、それを店舗運営でもやっているということです。
あとは売上全体でみるのか、商品のカテゴリごとにみるのか、商品単体でみるのかという商品軸の細かさ。
大事ですね。細かく、しかも毎日どれだけどこまで細かくできるか。そこで問題なのが、データを出す時間です。
データを出すのって時間がかかるんですよね。出すのが面倒だから見ないっていう店舗さんが多いのです。
だから僕らは今データ出すのを自動化してシステム化しています。
毎日数字の動きを見れる状態。
目標の差分が見れる状態にしておけば、あとは見るかどうかだけになると、結構見るんですよ。
そういう感覚も、自分が小売で全部やっていたから分かるんです。
僕はデータを出す担当だったから、僕が時間をかけて出したデータを社長が見たり、担当が見たりしていたけれど、大半の店舗さんはデータ出す担当なんていないので。今のうちのサービスのようなサポートが大事だと思うのです。
しかも、店舗さんは自分の店舗しか運営していないから、相対的な事って分からないですよね。
そうです、感覚が分からない。売上が悪いのは自分たちだけなのか全体的にそうなのか。
例えば自分の店舗が売上悪くても、楽天全体がトレンドで不調な場合、余計な時間はかけない方がよかったりするんですよ。僕らはたくさんの店舗さんとお付き合いさせていただいているので、そういう相対的なことが分かるメリットはありますね。
何も変わらないです。しいて言うなら、ちゃんとしなくちゃなっていうのは思うようになりました。
一人でやっているときは、寝坊したり、来なかったりとかありましたし。
プライベートでの素行も、ちょっと恥ずかしいなというような行動はやめました。
特にないですが、しいて言うなら、昼にはサラダしか食べないです。シュッとはしていたいから。でも食べるの大好きなんですよ。 それから、みんなとご飯に行ったりしたいんです。その時に気を使わないで食べられるように、そうじゃないときはできるだけ食べないようにしています。夜も家では基本的に糖質は食べないですね。
ないですね、いままでは上司がいたので、自分の意思を100%つらぬけなかったですが、今は自分の意思を100%つらぬいてます。自分がこうしたい、をよけいなしがらみでストップさせないですね。わがままですね。
例えば今だって、僕は社員のみんなにやりたいようにやって欲しいんですよ。トップダウンじゃなくて。僕がこうしろ、じゃなくて。店舗さんのためになることだったら自分たちで考えてやってくれっていうんだけれども、中には、もっと僕が思っていることを一緒にしたいから、もっと指示してくれ、と言う人もいます。でも僕がやりたいのはそれじゃないんで、みんなが意思を持ってやるっていうのが僕のやりたいわがままなので。
やりたい事をおしつけるわがままではなくて、みんながやりたいようにやって欲しいっていうのが僕のわがままです。
そこはつらぬきますね。
自由にさせる、ですね。あとは選択肢をひろげる、っていうこの2点だけですね。
選ぶのは自分ですが、いろんな事をさせといてあげないと。
子供たちは、価値観をひろげたり、視野を広げることは自分では難しいので、それだけをしておいてあげる、ということですね。その中から選ぶのはどれ選んでもいい。でも狭い選択肢から選ぶか、広い選択肢から選ぶかで絶対幸せは違うから。これやれ、あれやれっていうことは言わないけど、やりたいって言ったことは全部やらせます。
そんな太田社長が経営をするにあたって、大切にしている事や信念などありますか?
「人の為」ですね。
僕を含めて、お金を全く追いかけないですね。サービスを提供する際は自分たちが提供している価値以上の対価はもらわないです。
例えばお金のある会社さんがコンサルに対して30万でいいけど、50万円出そうとしてたら50万円はもらわないです。
30万円でやります。その20万円浮くんだったら他に使ってくれって話ですね。
軌道にのるまではやっぱりそこはもらってました。今だから出来る事です。
最初の頃は、やっぱり理想だけではやっていけないじゃないですか。
でも、資金に余力ができてきたら、その余力をどこに使うのっていったら、本当にやりたい理念の為に使いたいですね。
頑張ってる人や、いい商品を作ってる人の手助けがしたいです。
仲間として、お金とかじゃなくて人のために頑張れる人とやっていきたいです。
僕は今、何かに特化している人を採用しているんですよ。
能力とかじゃなくて、これだけは負けない、というものがある人。漫画家がいたりとか。元消防士の人とかも頑張ってくれていたりとか。良かったなって思いますね。志がみんな似てるとパワーが出ますね。
そんなファイブスプリングスへ、どういう人に来てもらいたいですか?
人のために頑張れる人ですね。
例えば僕たちは制作もやるじゃないですか。制作会社の人たちって、一人大体給料の3倍くらい売上作るっていうんですよ。でもうちの制作ではそうでない場合も多いです。足元の利益だけ考えたら頭が痛いですが、でもそうじゃないところが特化してて、それがどこかで大きな力になると思うから、そこは目をつぶってたりするんですね。
給料の3倍の売上を作れる人が今欲しいわけじゃないんですよ。ずっと給料分くらいの売上しか作れないかもしれないけれど、どこかでポンッと花開いてくれる人、10店舗に1店舗くらいが必要としてくれるような能力持ってる人っていると思うんですよね。
オールマイティな人も必要ですが、10人に1人くらいオールマイティな人がいてくれればいいです。
まず、コンサルのニーズは絶対高まると思っています。
今、EC化率が7~8%ですが、今後20%くらいになってくるわけじゃないですか。今よりECの規模が3~4倍になったときに、EC初心者の店舗さんが増えるんですね。ということはみんなおそらく外注をどんどん使うようになるんですね。外注は当たり前になってくるし、売り方わからないっていうのも当たり前になるじゃないですか。
コンサルって今、偉そうに助言をするような感じだと思うんです。
でもそのEC化率が高まってECが当たり前になってくるにあたって、コンサルはもっと伴走者みたいな感じになっていく必要があると思っています。ほんとに仲間としてコンサルが位置づけられる、そうであってほしいんですよね。
コンサルをつけるのなんてあたりまえ。みたいな。社員の一人として必ず一人置いておく、みたいな状態になる必要があると思うんです。それを当たり前にするためにはコンサル業界って怪しいっていうのを全体的に払拭する必要があります。そのために、業界全体でやっていけることはみんなで協力して進めていきたいですね。
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