2023.11.17
こんにちは、ファイブスプリングスです。
Yahoo!ショッピングでは受注から配送までの作業をヤマト運輸にアウトソーシングできる、「ヤマトフルフィルメント」というサービスを利用できます。
物流業界のリーディングカンパニーならではの配送コストの安さと配送品質の高さが強みのサービスですが、導入・運用にかかる手間やコストが気になっている方も少なくないのではないでしょうか。
そこで今回はヤマトフルフィルメントについて、サービスの概要やメリット・デメリットから、料金体系や利用の流れ、気になる評判まで解説します。
大手ECモールの他フルフィルメントサービス(FBAやRSL)との比較も交えながら解説するため、効率よく顧客満足度にもつながる問い合わせ返信の方法を知りたい方はぜひ最後までご覧ください。
【本記事でわかること】
◎ヤマトフルフィルメントの特徴や料金体系
◎ヤマトフルフィルメントのメリットとデメリット
◎ヤマトフルフィルメントの評判
目次
ヤマトフルフィルメントとは?
ヤマトフルフィルメントとは、Yahoo!ショッピング出店者を対象とした物流アウトソーシングサービスのことです。
「受注・保管・梱包・配送」といった入庫以降の物流業務をすべてヤマト運輸に任せられるため、商品企画やマーケティングなどの販売業務に注力できるようになります。
また以下のようなオプションサービスも用意されているため、必要に応じてさらに業務を任せることもできます。
【ヤマトフルフィルメント:オプションサービスの例】 |
有効期限付き入庫登録サービス | 保管している商品の消費期限を把握し 期日が近い商品から出荷します。 |
バーコード貼付サービス | 入庫登録時に必要なバーコード貼り付けを 代理でおこないます。 |
廃棄取次サービス | 廃棄会社への引き渡し作業を代理でおこないます。 |
透明袋入れサービス | 梱包時に商品を1点ずつ透明の袋に入れます。 |
緩衝材梱包サービス | 商品を1点ずつ緩衝材(エアキャップ)で梱包します。 |
ギフトラッピングサービス | 梱包時に商品を1点ずつラッピングします。 |
さらにマルチチャネルサービスも展開しており、Yahoo!ショッピングだけでなくAmazonや楽天など他のモールで購入された商品もヤマトの倉庫で保管・管理して配送することも可能です。
Yahoo!ショッピングへのストア登録が必要ではあるものの、料金設定もリーズナブルであり契約締結もWebで完結するため非常に始めやすいフルフィルメントサービスとなっています。
【他のフルフィルメントサービスとの比較もチェック!】
Amazonや楽天市場からも、同様のフルフィルメントサービスが展開されています。
以下の記事で各サービスの特徴や料金、サービス内容などを細かく比較しているため、フルフィルメントサービスの導入を検討している方はぜひあわせてご確認ください。
ヤマトフルフィルメントのメリットとデメリット
ヤマトフルフィルメントには、それぞれ以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット | デメリット |
〉料金がオトクでわかりやすい | 〉サービスのカバー範囲は狭め |
【メリット①】料金がオトクでわかりやすい
ヤマトフルフィルメントのメリットとしては、まずフルフィルメントサービスの中でもリーズナブルでわかりやすい料金設定となっていることがあげられます。
以下の表からもわかるように、Amazon「FBA」や楽天市場「RSL」と比べても安定してリーズナブルな料金設定となっています。
160サイズを超えるような大型商品や他モール配送時では最安値にはならないものの、メール便~140サイズまでの一般的な宅配サイズでは業界トップの安さを誇っています。
【大手ECフルフィルメントサービスの料金比較】 |
FBA (Amazon) |
RSL (楽天市場) |
ヤマト (Yahoo!ショッピング) |
|
メール便 | 294円 | 239円 | 218円 |
60サイズ | 521円 | 513円 | 427円 |
80サイズ | 593円 | 575円 | 493円 |
100サイズ | 746円 | 729円 | 645円 |
120サイズ | 1,207円 | 1,038円 | 814円 |
140サイズ | 1,401円 | 1,770円 | 1,399円 |
160サイズ | 1,508円 | 1,820円 | 1,745円 |
180サイズ | 2,333円 | 非対応 | 2,441円 |
200サイズ | 2,739円 | 2,923円 |
※各サービスで計算方法が異なるため、あくまでも目安となります。
またサービス利用にかかる料金は北海道・沖縄・離島含め全国一律で、上表のようなサイズごとにわかりやすく定められています。
FBAやRSLのように商品体積に基づいた細かい計算をおこなわなくとも料金を算出できるため、コストの見通しも立てやすく売価設定や販売戦略の組み立ても容易になります。
(詳しい料金体系については、後ほど「ヤマトフルフィルメントの料金体系」で解説します。)
【利用料金のシミュレーションも可能!】
ヤマト運輸の「フルフィルメントサービス」のページでは、コストシミュレーターツール(Excel)をダウンロードできます。
簡易的な算出とはなりますが、ヤマトフルフィルメント利用時と現在の物流コストを試算して比較することが可能です。
【メリット②】配送スピードが速い
最短当日着も可能という迅速な配送スピードも、ヤマトフルフィルメントの大きなメリットといえます。
倉庫(運用場所)の具体的な場所などは明らかにされておらず指定もできないものの、土日祝や年末年始を含めた24時間365日対応できる盤石の出荷体制が用意されています。
当日着は関東・関西の一部地域に限りますが、FBAのお急ぎ便対応やRSLのあす楽対応を更に上回る迅速さといえるでしょう。
【メリット③】優良配送の対象になる
Yahoo!ショッピング・PayPayモールへ出品している商品が「優良配送」の対象となることも、ヤマトフルフィルメントを利用するメリットの1つです。
優良配送とはYahoo!ショッピングにおいて安心かつスピーディーなお届けである配送を指す呼称のことで、対象となることで以下のような恩恵が受けられます。
【優良配送対象商品の恩恵】 |
①検索結果・レコメンド枠での優先表示 ②Yahoo!ショッピング外での誘導強化 ③絞り込み検索や条件指定の対象化 ④優良配送アイコンが付与される |
本来優良配送の対象となるためには配送品質に関する厳しい基準をクリアする必要がありますが、ヤマトフルフィルメントを導入すれば基準は満たされていると判断され自動的に優良配送の対象になります。
優良配送には上記のようにYahoo!ショッピングでの商品競争力を高める強力な効果があるため、配送品質を高めると同時に売上アップも期待できるでしょう。
Yahoo!ショッピングの優良配送については、以下の記事で詳しく解説しています。
メリットや対象となるための条件、ストアクリエイターProでの具体的な設定方法まで解説しているため、ぜひあわせてご確認ください。
【デメリット①】サービスのカバー範囲は狭め
他のサービスと比べてリーズナブルな料金が魅力のヤマトフルフィルメントですが、フルフィルメントサービスとしてのカバー範囲は狭めである点には注意が必要です。
FBAやRSLでは標準またはオプション対応しているもののヤマトフルフィルメントでは対応していないサービスの具体例としては、以下のものがあげられます。
(※カスタマーサポートに関してはRSLも対応しておらず、FBAのみの対応です。)
【ヤマトフルフィルメントの非対応サービス例】 |
× 海外出荷 × 同梱物封入 × 返品商品受け入れ × カスタマーサポート(配送状況の問い合わせ、返品対応など) × 一部ギフトラッピング(マルチチャネルサービスの受注管理システム自動連携は非対応) |
FBAやRSLからの移行を検討している際は、任せられる業務範囲が減ってしまう可能性があるため注意しましょう。
【デメリット②】一部商品には対応していない
ヤマトフルフィルメントはあらゆる商品を取り扱っているわけではなく、倉庫環境や法令の関係から一部の商品には対応していません。
具体的には以下のような商品・サービスは対応外となるため注意しましょう。
【ヤマトフルフィルメント取り扱い不可商品・サービスの例】 |
× 3辺合計が201cm以上、重量が31kg以上の大型商品 × 販売価格が15万円を超える高額商品 × 常温保管ができない商品 × 危険物・毒物・劇物 × 医薬品・医療機器 × 関連省庁への届け出や販売許可が必要なもの …など ※上記は一例です。詳しくはヤマト運輸の「ヤマトフルフィルメント サービスガイドライン」をご確認ください。 |
またフルフィルメントセンターに預けた商品は、原則空調設備ナシの常温・常湿環境で保管されます。
こうした倉庫の環境下でカビや虫害、鼠害が発生した場合の賠償もないため、環境変化に強くない商品を取り扱っている場合にも注意しましょう。
【デメリット③】ストアクリエイターProとの連携が甘い
ヤマトフルフィルメントはYahoo!ショッピング出店者を対象としたサービスですが、現状ショップ運営ツールであるストアクリエイターProとの連携が十分ではないといえます。
具体的には以下のような制限があるため、在庫管理や注文管理に手間が残る可能性があることも知っておきましょう。
【ヤマトフルフィルメント:ストアクリエイターPro連携での注意点】 |
・倉庫納品時に在庫数が自動同期されない ヤマトフルフィルメントでは商品を倉庫に納品後、手動でストアクリエイターProの在庫数を設定する必要があります。 FBAやRSLの場合は、倉庫納品時にそれぞれセラーセントラルやRMSといった運営ツールに在庫数が自動同期されます。 ・出荷完了しても注文ステータスが完了に自動更新されない |
ヤマトフルフィルメントの料金体系
ヤマトフルフィルメントの利用には、主に以下4つの料金が発生する可能性があります。
【ヤマトフルフィルメントで発生する4つの料金】 |
在庫保管手数料 | 商品を倉庫に保管する際にかかる料金です。 |
配送代行手数料 | 注文商品の梱包や配送に対してかかる料金です。 |
追加ピッキング費用 | 1つの箱に2つ以上の商品をピッキングする際にかかる料金です。 |
オプションサービス費用 | 追加梱包やギフトラッピングなどのオプションサービスを利用した際にかかる料金です。 |
それぞれの料金について、以下で詳しく見ていきましょう。
在庫保管手数料
商品の保管にかかる在庫保管手数料では、商品サイズに応じて1ピースごとに1日あたり下記の料金がかかります。
【ヤマトフルフィルメントの在庫保管手数料(税抜)】 |
ネコポス | 60 サイズ |
80 サイズ |
100 サイズ |
120 サイズ |
140 サイズ |
160 サイズ |
180 サイズ |
200 サイズ |
0.3円 | 1.5円 | 2.3円 | 6.2円 | 7.2円 | 15.8円 | 24.9円 | 30.5円 | 39.7円 |
一方で160サイズ以降の大サイズについてはやや高めの設定となっているため注意が必要です。
配送代行手数料
梱包や配送にかかる配送代行手数料は、商品サイズに応じて1箱ごとに下記の料金がかかります。
配送代行手数料はYahoo!ショッピングでの注文分を配送する場合と他モール(Amazon、楽天市場など)での注文分を配送する場合とで異なり、他モール配送分の方が高くなります。
なお作業費や資材費は配送代行手数料に含まれていますが、商品サイズは梱包後のサイズを基準とするため在庫保管料のサイズと異なる場合がある点には注意が必要です。
【ヤマトフルフィルメントの配送代行手数料(税抜)】 |
ネコポス | 60 サイズ |
80 サイズ |
100 サイズ |
120 サイズ |
140 サイズ |
160 サイズ |
180 サイズ |
200 サイズ |
|
自モール分 | 209円 | 382円 | 424円 | 459円 | 598円 | 925円 | 998円 | 1,526円 | 1,732円 |
他モール分 | 230円 | 500円 | 560円 | 600円 | 700円 | 940円 | 1,000円 | 1,648円 | 1,818円 |
他のフルフィルメントサービスとの比較としては、FBAやRSLよりも安い料金設定となっています。
他モール配送分についてもRSLには及ばないものの、FBAよりは安い料金設定となっています。
追加ピッキング費用
1つの箱に2つ以上の商品をピッキングする際にかかる追加ピッキング費用は、同梱される小さいサイズの商品に対して商品サイズに応じた下記の費用がかかります。
なお、180サイズを超える商品については非対応となっています。
【ヤマトフルフィルメントの追加ピッキング費用(税抜)】 |
ネコポス | 60 サイズ |
80 サイズ |
100 サイズ |
120 サイズ |
140 サイズ |
160 サイズ |
180 サイズ |
200 サイズ |
45円 | 75円 | 95円 | 180円 | 非対応 |
追加ピッキング費用は、2つ目の商品から小さいサイズの費用がかかります。
例えば「ネコポスサイズのTシャツ」と「60サイズの靴」を1つの60サイズの箱でまとめて配送する場合、「60サイズの配送代行手数料(382円)」に「ネコポスサイズの追加ピッキング費用(45円)」が加算されます。
2箱に分けて配送する場合はそれぞれの配送代行手数料が発生するため、追加ピッキングで対応することでコストを抑えることが可能です。
追加ピッキング対応とそうでない場合の 梱包・配送にかかる料金比較 |
例)「ネコポスサイズのTシャツ」と「60サイズの靴」を配送する場合
【個別で配送する場合】 【追加ピッキングでまとめて配送する場合】 |
オプションサービス費用
オプションサービスを利用した際にかかるオプションサービス費用は、利用するサービスごとに下記の費用がかかります。
【ヤマトフルフィルメントのオプションサービス費用(税抜)】 |
有効期限付き入庫登録サービス | 25 円 / 1明細 |
バーコード貼付サービス | 20 円 / 1ピース |
廃棄取次サービス | 50 円 / 1ピース |
透明袋入れサービス | 20 円 / 1ピース ※資材費込み、80サイズまで |
緩衝材梱包サービス | 80 円 / 1ピース ※資材費込み、80サイズまで |
ギフトラッピングサービス | 190 円 / 1ピース ※受注管理システムとの自動連携はギフト非対応 |
ヤマトフルフィルメント:利用の流れ
ヤマトフルフィルメントを利用する流れとしては、大まかに以下の3段階に分けられます。
契約もWebで完結し申し込み~運用開始にかかる目安も2~3週間程度となっているため、スムーズにフルフィルメントサービスを導入・開始できます。
【ヤマトフルフィルメント:利用の流れ】 |
①導入契約 | ストアクリエイターProから申し込みフォームの内容を入力し、契約を申し込みます。 申し込み後数日~1週間程度ヤマト運輸による審査がおこなわれ、審査にパスすると契約が完了します。 |
②稼働準備 | マニュアルを確認しながら、ストアクリエイターProで対象商品の決定や配送設定などをおこないます。 またヤマトフルフィルメントサービスのポータルサイトからも商品登録や納品依頼をおこない、実際に倉庫に商品を納品します。 |
③運用開始 | ストアクリエイターProやポータルサイトを使って、受注管理や在庫管理をおこないます。 ヤマト倉庫のポータルサイトでは、在庫情報や出荷実績データをCSVでダウンロードすることもできます。 また「通販する蔵」や「NEXT ENGINE」「シッピーノ」などの受注管理システムと連携して自動運用することも可能です。 |
なおヤマトフルフィルメントに関する問い合わせは、電話またはメールでおこなえます。
サービス契約時の相談や運用時の問い合わせがしたい場合は、以下の窓口を利用しましょう。
【ヤマトフルフィルメントの問い合わせ窓口】 |
問い合わせ窓口 | ヤマトフルフィルメントサービス ストアサポートセンター |
電話番号 | 0120-781-200 営業時間:9時~18時(定休日なし) |
メールアドレス | fulfillment@kuronekoyamato.co.jp |
※問い合わせ先は執筆時点から変更される場合があります。
問い合わせ前に必ずヤマト運輸のフルフィルメントサービスページやストアクリエイターPro のヤマトフルフィルメントサービスマニュアルをご確認ください。
ヤマトフルフィルメントの評判
最後にヤマトフルフィルメントの評判として、「良い評判」と「悪い評判」をそれぞれご紹介します。
【良い評判】 |
・物流コストを抑えながら業務効率化ができた
・24時間365日出荷対応により商品の購買率がアップした ・契約がWEBで完結するためスムーズに利用開始できる |
【悪い評判】 |
・ストアクリエイターProへの反映が遅く注文完了処理に手間がかかる
・納品条件が厳しく複数SKUを1つの箱で納品することが難しい ・出荷状況などを問い合わせた際のレスポンスが遅い |
総評としては、サービスを利用したことで品質向上や業務効率化、購買率アップなど好ましい効果が得られたと捉えているユーザーが多い印象です。
ただしやはりストアクリエイターProとの連携が不十分な点や、問い合わせに対するレスポンスの遅さに不満を抱いている店舗も少なくない点には注意が必要です。
ヤマトフルフィルメントとは:まとめ
今回はヤマトフルフィルメントについて、サービスの概要やメリット・デメリットから、料金体系や利用の流れ、気になる評判まで解説しました。
FBAやRSLと比べて配送スピードや配送コストの安さが優れているヤマトフルフィルメントですが、フルフィルメントサービスとしてのカバー範囲が狭めな点とストアクリエイターProとの連携が甘い点には注意が必要です。
ファイブスプリングスでは在庫管理最適化などのアドバイスをはじめ、分析~戦略立案~実行まで一貫してサポートするコンサルティングサービスをご提供しています。
「ヤマトフルフィルメントについて詳しく知りたい」「ヤマトフルフィルメント導入を手伝ってほしい」という方は、ぜひ一度お問い合わせページからお気軽にご相談ください。
太田 薫(おおた かおる)
株式会社ファイブスプリングス 代表取締役
元楽天ECコンサルタント、その後楽天MVP獲得店舗の統括部長。 ■無料相談■ |