2024.01.30
こんにちは、ファイブスプリングスです。
Yahoo!ショッピングのPRオプションは、広告費を設定した商品を検索結果上位やおすすめ商品としてPRできる広告サービスです。
成果報酬型のためコストも販売時のみかかるなど初心者にも始めやすい広告ですが、効果的に運用するためには広告としての特徴や適切な料率の設定方法を知っておく必要があります。
そこで今回はYahoo!ショッピングのPRオプションについて、広告としての特徴やメリットから基本的な設定方法、効果的な運用方法まで詳しく解説します。
PRオプションに関する注意点やよくある質問についてもあわせて解説するため、PRオプションの利用を検討したい方はもちろんPRオプションをもっとうまく活用したい方もぜひ最後までご覧ください。
【本記事でわかること】
◎PRオプションの効果や課金の仕組み
◎PRオプションの料率設定や特典申し込みの方法
◎PRオプションで最適な料率を設定する方法
目次
PRオプションとは
PRオプションは、設定した料率に応じて検索結果などで商品が表示されやすくなる広告サービスです。
PRオプションを設定した商品は、以下のような箇所で上位商品やおすすめ商品として掲載されます。
いずれもユーザーにとって注目度の高い箇所のため、販売力アップや新規顧客へのアプローチといった効果が期待できるでしょう。
【PRオプションの掲載箇所】 |
・検索結果画面 ・カテゴリリスト画面 ・ショッピングトップページ ・季節販促ページ …など |
※2024年1月執筆時点。掲載位置などは変更される可能性があります。 |
またPRオプションは成果報酬型の広告のため商品が購入された場合のみ請求が発生します。
PRオプションを設定した時点や商品ページにアクセスされた時点では請求は発生しません。
このため「売上に貢献していないのに広告費だけかかってしまう」といった事態に陥る心配がなく、料率などの設定も難しくないため初心者の方でも始めやすい広告となっています。
なお料率は販売価格(税抜)に対して、「0%または1~30%(0.1%刻みで設定可)」で設定できます。
例)販売価格10,000円(税抜)でPRオプション料率5%の場合の請求金額
10,000円 × 5% = 500円
PRオプションの条件付きメリット
成果報酬形式で商品の露出アップを狙えるPRオプションですが、さらに条件付きで得られるメリットも存在します。
具体的には「一定以上の料率設定」や「他サービスとの組み合わせ」で、以下3つのメリットが得られます。
【PRオプションの条件付きメリット】 |
〉LYPプレミアム会員向け価格を表示できる |
LYPプレミアム会員向け価格を表示できる
PRオプションを全商品一律で1%以上料率設定すると、LYPプレミアム会員のみに表示される価格の設定が可能になります。
LYPプレミアム会員向け価格を設定・表示できれば優良顧客を集められるため、長期的・安定的な売上アップや客単価アップが期待できます。
なお会員向け価格の設定のみであれば料率1%未満でもストアエディタで可能ですが、実際に商品ページで表示させるためには1%以上の料率設定が必要です。
【会員向け価格の設定方法】
会員向け価格を表示するためには、「PRオプション特典」への申し込み後に商品ページから「会員向け価格」欄へ価格設定が必要です。
(「PRオプション特典」への申し込み方法については、後ほど「PRオプション特典に申し込む方法」で解説します。)
特典としてSTORE’s R∞を利用できる
PRオプションを全商品一律で料率1%以上設定すると、マーケティングツールである「STORE’s R∞(ストアーズ・アールエイト)」を利用できるようになります。
STORE’s R∞はストアクリエイターProよりも細かい顧客分析やクーポン発行ができるようになるツールで、以下のような特徴を備えています。
【STORE’s R∞の特徴】 |
・目的や対象を選択してクーポンを発行できる 「初回購入者限定」「リピーター限定」「LYPプレミアム限定」など、目的に応じてターゲットを絞ってクーポンを発行できます。 ・購買率の高い日に合わせてクーポンを発行できる ・顧客情報やクーポン施策の効果を細かく測定・分析できる |
STORE’s R∞については、以下の記事で解説しています。
主にクーポン施策の観点から特徴や設定方法・活用方法(基本~応用)まで詳しく解説しているため、ぜひあわせてご覧ください。
限定企画への参加資格が与えられる
プロモーションパッケージへの加入も必要となりますが、PRオプションを設定するとYahoo!ショッピング運営が企画する限定キャンペーンにも参加できるようになります。
執筆時点(2024年1月)では、ボーナスストア(旧「倍!倍!ストア」)の対象店舗となることが可能です。
【ボーナスストア(旧「倍!倍!ストア」)とは?】 |
対象ストアでのお買い物で、対象金額に対してPayPayポイントが5%または10%付与される企画。 |
ボーナスストアの参加ストアは不参加ストアに比べて売上が1.2倍高くなるというデータもある*ため、競合と差をつけながら集客アップと購買率アップが期待できるでしょう。
プロモーションパッケージについては以下の記事で解説しています。
申し込み方法やサービス内容など詳しく解説しているため、ぜひあわせてご覧ください。
PRオプションの設定方法
PRオプションの料率設定は、「全商品一律で設定する」ほか、「商品ごとに個別設定する」ことも可能です。
ここではそれぞれの設定方法について解説するほか、PRオプション特典の申し込み方法についても解説します。
【PRオプションの設定方法】 |
〉全商品一律で設定する方法 |
全商品一律で設定する方法
ストア内の全商品に一律でPRオプション料率を設定する方法は、以下の通りです。
1.ストアクリエイターProトップページから、「販売促進」メニュー内の「PRオプション料率設定 Yahoo!ショッピング」をクリックします。
2.「PRオプション料率/特典設定」の「PRオプション料率」で、設定したい料率を入力します。
(料率は0.1%刻みで0.1%~30%の範囲、または0%で設定できます。)
3.「確認」ボタンをクリックします。
4.「PRオプション料率設定-確認」画面が表示されるため、内容を確認し問題なければ「設定」ボタンをクリックして完了です。
商品ごとに個別設定する方法
商品ごとに個別にPRオプション料率を設定する方法は、以下の通りです。
1.ストアクリエイターProトップページから、「商品・画像・在庫」メニュー内の「商品管理」をクリックします。
2.PRオプション料率を設定したい商品を選択します。
3.ページ編集画面の「基本情報」にある「販促情報」から、「PRオプション料率」で設定したい料率を入力します。
(料率は0.1%刻みで0.1%~30%の範囲、または0%で設定できます。)
4.「保存して編集を続行」ボタンまたは「保存してプレビュー」ボタンをクリックして完了です。
PRオプション特典に申し込む方法
PRオプション特典に申し込む(STORE’s R∞を利用できるようにする)方法は、以下の通りです。
1.ストアクリエイターProトップページから、「販売促進」メニュー内の「PRオプション料率設定 Yahoo!ショッピング」をクリックします。
2.「PRオプション料率/特典設定」の「PRオプション特典」で、「申し込む」にチェックを入れます。
3.「確認」ボタンをクリックし、「PRオプション料率を設定しました」とメッセージが表示されれば完了です。
(STORE’s R∞を実際に利用できるまでには、最大4時間程度かかる場合があります。)
PRオプションを効果的に運用する方法
ローリスクでかんたんに始められるPRオプションですが、当然何となく運用しているだけでは十分な効果は得られません。
PRオプションを効果的に運用するためには、常にオプション料率を最適化していくことが求められます。
今回はPRオプション料率を最適化するために必要なアクションとして、以下の3つを解説します。
【PRオプションを効果的に運用する方法】 |
〉商品の特性に合わせて料率を設定する |
商品の特性に合わせて料率を設定する
PRオプションの料率設定を最適化するためには、全商品一律ではなく商品の特性に合わせた料率設定が必要です。
広告の基本にもなりますが、もともと売れる商品に料率を設定する必要はありません。
もともと転換率が高い商品に高い料率を設定してしまうと、無駄な広告費がかかってしまうため注意しましょう。
またいくら売上があった場合のみ費用がかかる広告といっても、利益率には注意が必要です。
もともと利益率の低い商品に高い料率を設定してしまうと、薄利多売に陥ってしまいます。
これらのポイントを念頭に、「PRオプションを設定する( or 高い料率を設定する)商品」と「PRオプションを設定しない( or 低い料率を設定する)商品」とを振り分けましょう。
PRオプションを設定する商品 (高い料率を設定する商品) |
PRオプションを設定しない商品 (低い料率を設定する商品) |
・売上貢献度が低い商品
・利益率が高い商品 |
・転換率が高い商品
・利益率が低い商品 |
時期に応じて料率を調整する
料率を調整する観点からいえば、「いつ料率を上げて勝負に出るか」といった料率調整のタイミングも重要です。
PRオプションは料率に応じて商品が表示されやすくなる仕組みのため、当然イベント時などは競合も料率を普段より高く設定してきます。
繁忙期と閑散期では同じ効果を得るために必要な料率が異なる可能性があるため注意が必要です。
繁忙期も競合に負けないように料率を上げるのか、逆に閑散期を狙って料率を上げるのか、自店舗の戦略に合わせて料率を上げるタイミングを見極めましょう。
PRオプションレポートで効果測定する
料率を設定した際は、必ずPRオプションレポートを使って効果測定しましょう。
PRオプションレポートは、ストアクリエイターProの「レポート分析」ページで確認できます。
(※PRオプションレポートの閲覧には、「アクセス管理」で「カート設定権限」または「統計情報管理権限」が必要です。)
PRオプションレポートではさまざまな実績値とその推移が確認できますが、特に以下の点に注目して分析をおこなうと良いでしょう。
【PRオプションレポートのチェック箇所】 |
・売上は増えているか? ・表示数は増えているか? ・クリック数は増えているか? ・売上に対して広告費は高くなり過ぎていないか?…など |
これらを確認しながら「十分な効果が得られていなければ料率を上げる」「広告費が高くなり過ぎていたら料率を下げる」と再度料率を見直し、料率を再設定したあとは再度効果測定をおこない…とPDCAを回していきます。
PRオプションレポートはストア全体を対象としているためやや大まかな内容にはなりますが、PDCAを回して「売上を増やしつつ広告費が高くなり過ぎない」最適な料率のラインを割り出しましょう。
【より詳細な分析には「プレミアム統計」がオススメ】
プロモーションパッケージご契約者であれば、より詳しい分析ができる「プレミアム統計」の活用がおすすめです。
プレミアム統計であれば商品別ごとのページビュー数などを確認できるため、分析と対策をより正確におこなえます。
PRオプション利用時の注意点
ここではPRオプション利用時の注意点として、以下3つを解説します。
【PRオプション利用時の注意点】 |
〉キャンセル・返品の場合でもコストが発生する |
キャンセル・返品の場合でもコストが発生する
PRオプションは商品が購入された場合のみ請求が発生しますが、購入後にキャンセル・返品があった場合も広告費は返ってきません。
キャンセル期間を長く設けていたり返品保証をおこなっていたりするなど、キャンセル・返品の可能性がある場合は注意しましょう。
また数十万円や数百万円などの高額商品を取り扱っている場合も、無駄になってしまう広告費が大きくなるため注意が必要です。
特典利用時は常に高い方の料率が適用される
PRオプションでは、「ストア全体料率」と「商品別料率」を同時に設定することができます。
同時設定した場合基本的には「商品別料率」が優先されますが、PRオプション特典利用時には常に高い方の料率が適用されるため注意が必要です。
例)「ストア全体料率5%」「商品Aの商品別料率3%」で設定した場合に、商品Aに適用される料率
特典を利用していない場合 | 商品別料率(3%)が適用 |
特典を利用している場合 | ストア全体料率(5%)が適用 |
このように、PRオプション特典を利用すると特定の商品を商品別料率でストア全体料率より低く設定することができない状態となります。
商品別料率を使って特定商品のみ高く料率設定している場合は問題になりませんが、低く料率設定している場合はストア全体料率まで引き上げられてしまうため注意しましょう。
キャンペーン参加時は一番高い料率が適用される
「PRオプション料率3%以上」などPRオプション料率が参加条件となるキャンペーンに参加同意した場合、キャンペーン期間中は設定料率と参加条件下限料率のうち最も高い料率が適用されるため注意が必要です。
例えば設定料率が参加条件下限料率よりも低い場合は、自動的に参加条件下限料率まで料率が引き上げられます。
例1)「ストア全体料率1%」「参加条件下限料率3%」の場合
→キャンペーン期間中は「3%」が適用
また逆に設定料率が参加条件下限料率よりも高い場合は、そのまま最も高い料率が適用されます。
(こちらの場合、自動的に参加条件下限料率まで料率が引き下げられることはありません。)
例2)「ストア全体料率5%」「参加条件下限料率3%」の場合
→キャンペーン期間中も「5%」が適用
PRオプション料率が参加条件となっているキャンペーンに参加する際は、参加条件をよく確認して意図せず料率を引き上げてしまわないよう注意しましょう。
PRオプションに関するよくある質問
最後にPRオプションに関するよくある質問として、以下の4つにお答えします。
【PRオプションに関するよくある質問】 |
〉オススメのPRオプション料率は? |
オススメのPRオプション料率は?
PRオプション料率をどのように設定したらいいかわからない場合、まずは「ストア全体料率1%」で設定することをオススメします。
当然商品にもよりますが1%の料率でも一定の効果を得られる可能性があり、また1%で料率設定すると特典としてSTORE’s R∞が利用できるようになります。
PRオプションによる露出アップでアクセスを集めて今度は転換率アップが必要となった際、STORE’s R∞で打てるクーポン施策は強力な味方となるでしょう。
このためまずはストア全体料率1%で設定し、効果測定をおこないながら商品別料率なども活用して料率を最適化する流れがオススメです。
PRオプションの効果が感じられない
PRオプションで十分な効果が感じられない場合、効果が得られない原因が料率なのかそれ以外なのかを切り分ける必要があります。
Yahoo!ショッピング検索結果の上位表示ロジックは以下のようになっており、PRオプション料率だけで上位商品が決まるわけではありません。
【Yahoo!ショッピング検索結果の上位表示ロジック】 |
・商品名のキーワード関連性 ・商品ごとの実績(PV数、売上、レビューなど) ・PRオプションの設定料率 |
このため実際に商品を上位表示させるためには、「料率の最適化」だけでなく「SEO対策の強化」や「商品スコアの向上」が必要です。
PRオプションはあくまで「検索順位を決めるスコアの一部に有利に働きかけるに過ぎない」ことを念頭に置き、再度上位表示に不足している条件を洗い出してみましょう。
アイテムマッチとの違いは?
PRオプションとアイテムマッチはいずれも検索結果連動型広告ですが、課金形態と検索結果連動する仕組みが異なります。
まず課金形態に関して、PRオプションが成功報酬型であるのに対しアイテムマッチはクリック課金型です。
広告をクリックされた時点でコストが発生するため、転換率が低い商品や低単価商品の場合コストが高くなってしまうリスクがあります。
ただしアイテムマッチは、適切な予算をかけることで出稿したその日から検索上部に[PR]商品として露出されます。
検索ロジックの一部に有利に働きかけるにすぎないPRオプションよりも即効性があり、特に転換率が高い商品や高単価商品などでの費用対効果が期待できます。
このようにPRオプションとアイテムマッチは、それぞれ効果が出やすいタイミングや商品が異なります。
それぞれの広告としての性質を理解し、店舗の戦略などと照らし合わせながら活用しましょう。
PRオプションを設定できない
PRオプションを設定できない、PRオプション料率設定のメニューが表示されない場合は、PRオプション権限が与えられていない可能性があります。
PRオプション権限付与の基準は公開されていませんが、ある程度の月商が必要で出店後すぐには利用できないといわれています。
このためまずは目標月商の達成を目指しつつ、どうしてもすぐに検索結果連動広告を打ちたい場合はアイテムマッチ広告の利用を検討すると良いでしょう。
PRオプション:まとめ
今回はPRオプションについて、広告としての特徴やメリットをはじめ、基本的な設定方法や効果的な運用方法、そしてPRオプションに関する注意点やよくある質問まで詳しく解説しました。
成果報酬型で始めやすいPRオプションですが、効果的に運用するためには効果測定をおこないながら商品や時期ごとに料率を最適化していく必要があります。
また料率の最適化と並行して、「SEO対策の強化」や「商品スコアの向上」といった基本的な取り組みが必要であることも忘れてはいけません。
ファイブスプリングスではPRオプションなどの広告運用アドバイスをはじめ、分析~戦略立案~実行まで一貫してサポートするコンサルティングサービスをご提供しています。
「PRオプションの導入について相談したい」「PRオプションを利用しているが思ったように効果が出ない」という方は、ぜひ一度お問い合わせページからお気軽にご相談ください。
太田 薫(おおた かおる)
株式会社ファイブスプリングス 代表取締役
元楽天ECコンサルタント、その後楽天MVP獲得店舗の統括部長。 ■無料相談■ |