2023.06.12
こんにちは、ファイブスプリングスです。
楽天で利益を拡大していくためには新規顧客を獲得する必要がありますが、多数の出店・出品があるECモールで継続的に新規顧客を勝ち取っていくことは容易ではありません。
マーケティングでは新規顧客への販売コストは既存顧客への販売コストの5倍かかるともいわれており、効果的に新規顧客を獲得していくためにはリソースと相談しながら効率的に施策を展開する必要があります。
そこで今回は、楽天で新規顧客を獲得するための3つのポイントと10の施策を解説します。
RMSを使った顧客分析の方法についても具体例を交えながらわかりやすく解説するため、新規顧客獲得の施策について具体的に知りたい方はぜひ最後までご覧ください。
【本記事でわかること】
◎新規顧客を獲得する際のポイント
◎新規顧客獲得のための具体的な施策
◎新規顧客獲得のためのRMSを使った分析方法
目次
新規顧客獲得で重要な3つのポイント
楽天市場のような大手ECモールでは多くのアクセスが見込めることが強みの1つですが、一方で競争力も高いため顧客獲得のためには「楽天市場での戦い方」を知っている必要があります。
そこでまずは楽天市場で新規顧客を獲得するためのポイントとして、以下の3つを押さえておきましょう。
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楽天で安定的に利益を出すためには、新規顧客だけでなくリピーターの確保も重要です。 楽天でリピーターを獲得・育成する方法については、リピーター施策のメリットやポイントをまとめた以下の記事をご覧ください。 |
商品や顧客について知る
楽天で新規顧客を獲得するためには、まず商品や顧客についてくわしく知る必要があります。
商品や顧客についての分析をおこなうことで、「誰に何をどのように売り出せば新規顧客獲得につながるのか」がわかるようになるためです。
幸いなことに楽天市場には出店者用の分析ツールが多数提供されており、商品の売れ筋傾向やターゲットとなるユーザー層についての分析などが可能です。
後ほどくわしくご紹介する「新規顧客を獲得するための10の施策」でいえば、以下の3つが「商品や顧客について知る」ための施策としてあげられます。
商品を知ってもらう機会を増やす
楽天で新規顧客を獲得する上で大きな課題にもなるポイントとしては、いかに多くのユーザーに商品を知ってもらう機会を増やせるかという点があげられます。
多くの出店・出品があるECモールでは簡単に自店舗の商品は埋もれてしまうため、商品の露出を増やして戦略的にアクセスを集める必要があります。
楽天で効率的にアクセスを集める方法としては、SEOやイベントの対策、広告の活用などが有効です。
後ほどくわしくご紹介する「新規顧客を獲得するための10の施策」でいえば、以下の4つが「商品を知ってもらう機会を増やす」ための施策としてあげられます。
買いやすい・買いたくなる環境を整える
新規顧客を獲得するためには、ただユーザーを集めるだけでなく商品を買いやすい環境・買いたくなる環境を整える必要があります。
せっかく多くのユーザーを集められたとしても、商品を買うメリットや動機を与えられなければ顧客化には至らないため注意しましょう。
出店・出品数も多くポイント付与やセールイベントが前提の楽天市場ではユーザーも「良いものをオトクに買いたい」という意識が強いため、「メリットの提供」や「信頼の獲得」は特にシビアに追及する必要があります。
後ほどくわしくご紹介する「新規顧客を獲得するための10の施策」でいえば、以下の3つが「買いやすい・買いたくなる環境を整える」ための施策としてあげられます。
新規顧客を獲得するための10の施策
楽天市場で新規顧客を獲得するためには、「分析」「集客」「購入の動機付け」の3つのポイントを押さえた施策の実行が必要です。
それぞれの具体的な施策として、今回は以下計10の施策をご紹介します。
【新規顧客を獲得するための10の施策】
「商品や顧客について知る」ための施策 |
〉顧客分析レポートでターゲット層を知る |
「商品を知ってもらう機会を増やす」ための施策 |
〉SEOを対策して商品を上位表示させる |
「買いやすい・買いたくなる環境を整える」ための施策 |
〉クーポン配布やポイント変倍で購入を促す |
顧客分析レポートでターゲット層を知る
具体的な施策を実行する前に、まずは自店舗のターゲットとなるユーザーの特徴を把握する必要があります。
ターゲット層の属性や傾向を把握することで、どの施策が新規顧客獲得に効果的なのかを判断できるようになるためです。
楽天ではRMSの「顧客分析レポート」を使うことで、自店舗の訪問者や購入者の「ユーザー属性(性別や年代など)」や「行動パターン(買い物をする曜日・時間帯やイベントへの興味)」を確認できます。
例えば弊社運営店舗「Hariti」のとある月の顧客分析レポート結果からは、以下のような分析が可能です。
・訪問者、購入者ともに「30代女性」が最も多い
→SNSの発信先、広告の表示先、商品ページ作りのターゲットを「30代女性」に設定する。
または別のアプローチとして、相対的な訪問率・購入率は少ないものの購入率が最も高い「20代男性」のアクセスを増やす方向で施策を打つ。
このようにまずは顧客分析レポートから新規顧客になりうるターゲット層の特徴を把握して、「どの層にどのようにアプローチすれば効果的か」を考えてみましょう。
店舗カルテで新規顧客獲得につながる商品を知る
施策実行前の分析では、「どの商品が新規顧客獲得につながるのか」を把握することも重要です。
新規顧客獲得への貢献度の高い商品を把握することで、各施策を実行する際にどの商品を主力にするべきかを判断できるようになるためです。
楽天ではRMSの「店舗カルテ」を使うことで、「新規顧客を獲得した商品ランキング」や「新規顧客を獲得した商品ジャンル」を確認できます。
▼新規獲得商品 最新ランキング
直近1ヵ月のうち、新規購入人数が多かった商品をランキング形式で表示します。
新規顧客獲得に強い商品、売り出すべき商品について、直近のトレンドを踏まえて分析する際に有用です。
▼2年間通算 購入商品別顧客獲得数
過去2年間のうち、新規顧客獲得合計数が多かった商品を表示します。
新規顧客獲得に強い商品、売り出すべき商品について、長期的な傾向を踏まえて分析する際に有用です。
▼新規顧客を獲得した商品ジャンル別貢献度
過去1年間または過去半年間のうち、「新規顧客獲得に貢献した商品ジャンル」や「新規購入顧客の平均購入金額」などを表示します。
新規顧客獲得に強い商品ジャンルや、新規顧客獲得にかかるコストの改修目安を分析する際に有用です。
例えば弊社運営店舗「Hariti」の店舗カルテの内容からは、「鼻水吸引器 ちぼじ」が新規顧客を多く生み出している商品であるということがわかります。
「ちぼじ」のように「店舗のことを知らないユーザー(=新規ユーザー)にも購入してもらえる可能性が高い商品」がわかったら、積極的にその商品のアクセスアップを狙っていきましょう。
具体的には広告を打ち出したりほかのページからも回遊できるようにしたりといった工夫をすることで、「ちぼじ」へのアクセスが増えて新規顧客も増やすことができると考えられます。
このように店舗カルテで商品分析をおこなうことで、新規顧客獲得に強い商品を使った効果的な施策を打つことが可能になります。
行動分析レポートで新規顧客獲得の課題点を知る
RMSを使った分析では、自店舗にとっての新規顧客獲得の課題点をダイレクトに分析することも可能です。
現状新規顧客獲得のために何が足りていて何が足りていないのかを知ることで、しっかりと優先度付けをしながら施策を選んで実行できるようになります。
楽天ではRMSの「行動分析レポート」を使うことで、ユーザーの購入意欲を「商品を知る(認知)→興味を持つ(興味)→購入する(購入)」という3段階に分けた上でどこに課題があるのかを確認できます。
例えば弊社運営店舗「Hariti」のとある月の行動分析レポート結果からは、「興味への遷移率」や「購入への遷移率」には問題がないものの「認知」自体の数が少ないということがわかります。
(赤色が自店舗のデータで、灰色が比較対象店舗平均のデータ)
認知自体の数が増えれば競合と同程度には興味を持ってもらえたり購入に至ってもらえるため、この場合は認知(=アクセス)を増やす施策が必要と判断できます。
このように行動分析レポートから新規顧客獲得のネックとなっている部分を把握して、「現状最も改善すべきポイントはどこか」を考えてみましょう。
SEOを対策して商品を上位表示させる
ここからは新規顧客獲得に欠かせない、「商品を知ってもらう機会を増やす」ための施策をご紹介します。
多数の出品・出店がある楽天市場でアクセスを集めるためには、SEO対策をおこなって楽天サーチの検索結果で上位表示されることが不可欠です。
しっかりとSEO対策ができていればより多くのユーザーに商品や店舗を知ってもらえる機会が増えるため、商品が上位表示されているほど新たな顧客を得られる可能性も高くなります。
楽天のSEO対策で最も重要な要素としては、「商品名の最適化」があげられます。
楽天で商品名を決める際は、以下のように固有の商品名だけでなく文字数制限いっぱいまで使って検索ニーズに合った情報を盛り込みましょう。
【楽天SEOに弱い商品名と強い商品名の例】(「Fabhugの光るレインブーツ」の場合)
楽天SEOに弱い商品名 | Fabhug 光る レインブーツ |
楽天SEOに強い商品名 | Fabhug 光る レインブーツ │ 長靴 キッズ ジュニア 子供 子ども こども 子供用 女の子 男の子 雨 雪 雨具 梅雨 対策 かわいい おしゃれ レインシューズ 夜間 事故防止 17cm 18cm 19cm 20cm 通学 通園 夕方 水遊び 履きやすい 安全 送料無料 |
商品名に盛り込むべき情報や具体的なキーワードの探し方、商品名最適化以外のSEO対策については以下の記事をご確認ください。
顧客獲得のためには検索上位に載ってからが勝負! |
アクセスアップに非常に重要なSEO対策ですが、商品を知ってもらった上でさらに購入まで至ってもらうためには競合よりも魅力的な商品である必要があります。 オトク感や品質など、「競合と比べてより強くメリットを押し出せているか」という点もしっかりと分析しましょう。 |
広告を活用して商品の露出を増やす
SEO対策だけで商品を上位表示させることが難しい場合は、広告を活用して商品の露出を増やしましょう。
効果的に広告を活用できれば、たとえ商品の販売実績などが不足していても多くのユーザーに商品を知ってもらう機会が得られる可能性が高まります。
楽天にはさまざまな広告がありますが、新規顧客獲得のためには以下のような広告が有効です。
【RPP広告】
あらかじめ検索キーワードを設定することで、そのキーワードでの検索結果に[PR]商品として商品を上位表示させる広告です。
SEO対策と同じく楽天サーチからのアクセスの増加が見込めますが、広告枠を勝ち取るためには「クリック単価」や「キーワード」を最適化する必要があります。
新規顧客獲得を狙う場合は、「店舗カルテで新規顧客獲得につながる商品を知る」で分析した「新規顧客獲得に強い商品」のアクセス底上げなどを狙ってみると良いでしょう。
RPP広告のくわしい仕組みや攻略法については、以下の記事をご確認ください。
【ターゲティングディスプレイ広告】
ターゲット指定した楽天会員ユーザーに対して、楽天市場内でバナーを配信できる広告です。
性別や年齢、会員ランクなど広告の表示先を細かく指定できるため新規顧客層へのアプローチなどに最適ですが、効果的に運用するためには「入札単価」や「ターゲット」を最適化する必要があります。
新規顧客獲得を狙う場合は、「顧客分析レポートでターゲット層を知る」で分析したターゲット層に合わせてターゲットを設定すると良いでしょう。
ターゲティングディスプレイ広告のくわしい仕組みや攻略法については、以下の記事をご確認ください。
【クーポンアドバンス広告】
商品に興味がありそうな楽天会員ユーザーの楽天市場ページに、クーポンをおすすめ表示する広告です。
商品ではなくクーポンが表示されるため商品の露出を増やしつつ購買意欲を刺激することができますが、効果的に運用するためには「値引率」や「配信先」を最適化する必要があります。
新規顧客獲得を狙う場合は、「行動分析レポートで新規顧客獲得の課題点を知る」でみた「購入への遷移率」を改善する施策として運用すると特に有効でしょう。
クーポンアドバンス広告のくわしい仕組みや攻略法については、以下の記事をご確認ください。
イベント対策でアクセスアップを狙う
楽天でアクセスを集めるためには、定期的に開催されるイベントをしっかり対策することも重要です。
楽天ユーザーの多くはオトクにお買い物ができるイベントへの関心が高く、しっかりとイベント対策をおこなうことで普段の数倍のアクセス・売上が見込めます。
楽天ではさまざまなイベントが開催されますが、アクセスを集めて新規顧客を獲得したい場合は以下のイベントの対策に注力しましょう。
【お買い物マラソン】
税込み1,000円以上の商品を購入したショップ数に応じて、獲得できるポイント倍率がアップする買いまわりイベントです。
ポイント倍率をアップさせるために普段買わないような商品も購入するユーザーが増えるため、新たに店舗や商品を知ってもらう絶好の機会といえます。
新規顧客獲得を狙う場合は、1,000円ポッキリ商品など「購入ショップ数を手軽に稼げる低単価商品」を提供するとアクセスや売上アップが見込めるでしょう。
お買い物マラソンの特徴や攻略法については、以下の記事をご確認ください。
【楽天スーパーセール】
割引率の高い商品が多数出品される、楽天の買いまわりイベントです。
商品を安く買える上にポイントも多く貯められる楽天スーパーセールはユーザーにとっても非常にオトクなイベントのため、普段よりも多くのアクセスが見込めます。
新規顧客獲得を狙う場合は、割引商品だけを検索結果として表示する「楽天スーパーセールサーチ」に可能な限り多くの商品を掲載することが注目・アクセスを集めるカギとなります。
楽天スーパーセールサーチに商品を掲載するための具体的な申請方法や審査通過のためのポイントについては、以下の記事をご確認ください。
SNSを活用して流入経路を増やす
楽天市場内での集客に限界を感じる場合は、SNSを活用して楽天市場以外からのアクセスアップを狙うことも効果的です。
SNSを活用することで、楽天市場内だけではアクセスできなかった新たな顧客層にまで集客範囲を広げられる可能性があります。
楽天で運営している店舗とSNSを紐づけて効果的に運用したい場合は、楽天のSNS「R-SNS」の活用がおすすめです。
R-SNSはLINEやInstagram、Facebookといった主要なSNSとの連携に対応しているため、うまく運用できればSNSの拡散力も使いながら広い顧客層にアプローチできるでしょう。
またR-SNSはSNSとの連携だけでなく運用サポートもサービス内容としているため、SNS運用に自信がない場合も強い味方となってくれます。
R-SNSを利用する具体的な方法メリット、活用のポイントについては、以下の記事をご確認ください。
クーポン配布やポイント変倍で購入を促す
ここからは集めたユーザーを顧客にするために必要な、「商品を買いやすい・買いたくなる環境を整える」ための施策をご紹介します。
楽天で商品を購入してもらうための施策としては、クーポン配布やポイント変倍によって商品を購入するメリットを提供することがまず重要です。
これまでもお話してきたとおり楽天ユーザーは「オトクにお買い物をしたい」という意識が強いため、割引率やポイント付与率が高ければ高いほど自店舗の商品を選んでもらえる可能性が高くなります。
新規顧客獲得を狙う場合は、特に「初回購入者限定クーポン」の配布などが有効でしょう。
楽天でクーポンを配布する方法や倍率を設定する方法、それぞれの活用ポイントや注意点については以下の記事をご確認ください。
購入しやすい入口商品・ギフト商品を展開する
多くのユーザーに商品を知ってもらうだけでなく手に取ってもらうための施策としては、入口商品やギフト商品など買ってみやすい商品ラインナップを用意することも有効です。
低価格・少量で試せるパッケージ商品などを展開することで、購入するハードルが下がりユーザーが顧客化する可能性が高まります。
お試し商品の価格を1,000円に設定できれば、多くの集客が見込める買い回りイベントとの相乗効果も期待できるでしょう。
またギフト商品は1件の注文で「注文者」と「贈り先」という2者にアプローチできるため、効率的に新規顧客を獲得できます。
楽天でギフトサービスを展開するメリットや方法については、以下の記事をご確認ください。
レビュー獲得・レビュー返信で信頼を得る
集めたアクセスをしっかりと購入に繋げて新規顧客を獲得するための方法としては、レビューを通じて商品や店舗に対する信頼を得ることも重要です。
ECでは多くのユーザーが商品購入の際にレビューを参考にしているため、評価の高いレビューを集めたりレビューに真摯に返信することは新規顧客を獲得するための非常に重要な要素となります。
「良い評価に対して感謝を伝える」「悪い評価に対して謝罪を伝えたり誤解を解いたりする」など、レビューにはしっかりと対応しましょう。
楽天で良いレビューを集める方法やレビューに返信する方法については、以下の記事をご確認ください。
楽天の新規顧客獲得施策:まとめ
今回は、楽天で新規顧客を獲得するための3つのポイントと10の施策を解説しました。
新規顧客を獲得するためには分析をおこなった上でアクセスを集めて購入しやすい環境を整えることが必要ですが、正しく分析をおこなって効果的に施策を実行するためにはECの顧客獲得に関する知識や経験が必要です。
ファイブスプリングスでは今回ご紹介したアクセス数アップや広告運用のサポートをはじめ、分析~戦略立案~実行まで一貫してサポートするコンサルティングサービスをご提供しています。
「新規顧客を獲得できずに困っている」「自店舗にあった新規顧客獲得の方法を考えて欲しい」という方は、ぜひ一度お問い合わせページからお気軽にご相談ください。
太田 薫(おおた かおる)
株式会社ファイブスプリングス 代表取締役
元楽天ECコンサルタント、その後楽天MVP獲得店舗の統括部長。 ■無料相談■ |