2022.08.16
こんにちは、ファイブスプリングスです。
狙ったユーザーにバナー広告を配信できるターゲティングディスプレイ広告ですが、効果的に活用するためにはターゲット選定やバナー作成など戦略的に取り組まなければなりません。
また2022年8月17日以降のキャンペーンについては入札制へと移行されるため、競合に勝って広告枠を獲得するための戦略も必要となります。
そこで今回は、ターゲティングディスプレイ広告の特徴や設定方法、活用方法について解説します。
効果的なターゲティング選定の方法や入札制を想定した具体的な設定手順も詳しく解説するため、「ターゲティングディスプレイ広告で新たなユーザー層にアプローチしたい」「新しく始まる入札制でスタートダッシュを決めたい」という方はぜひ最後までご覧ください。
【本記事でわかること】
◎ターゲティングディスプレイ広告の特徴と必要な費用
◎ターゲティングディスプレイ広告の活用方法
◎キャンペーン登録やセグメント設定・バナー入稿の具体的な手順(操作手順の画像つき/入札制対応!)
目次
ターゲティングディスプレイ広告(TDA広告)とは
ターゲティングディスプレイ広告とは、ターゲット指定した楽天会員ユーザー(=セグメント)に対して楽天市場内でバナーを配信できる広告のことです。
セグメントやバナーデザインの指定が店舗側で自由にできるため、特定のユーザー層に対して視覚的にアピールしたい場合に有効な広告といえます。
ビューアブルインプレッション(Vimp)課金と言って「広告の50%以上がユーザーに1秒以上表示された際に設定した配信単価がかかる」仕組みのため、ただ表示されて見られなかった広告分などの余計なコストがかかる心配もありません。
なお「Targeting Display Advertisement」の略称として、「TDA」や「TDA広告」と呼ばれることもあります。
▼閲覧履歴に広告掲載された場合
【セグメントとは?】
セグメントとは、簡単にいうとターゲットとなる楽天会員ユーザーのことです。
ターゲティングディスプレイ広告では、性別や年齢、会員ランクや閲覧・購入履歴などから、店舗側で細かくセグメントを指定できます。
まずはターゲティングディスプレイ広告について、以下3つの項目をさらに詳しく解説します。
ターゲティングディスプレイ広告の特徴
ターゲティングディスプレイ広告には、以下のような特徴があります。
【ターゲティングディスプレイ広告の特徴】
〉広告の表示回数に応じて費用がかかるVimp課金型のバナー広告
〉ランキングや閲覧履歴など、ほかの広告が掲載されないような箇所にバナー配信が可能
〉会員情報や購入・行動履歴などから広告配信するターゲットを細かく指定可能
〉掲載箇所・IMP単価が異なる2つのパッケージから選択可能*
〉広告表示のためのバナーが自由に作成可能
〉パフォーマンスレポートでの効果測定が可能
*パッケージは2022年8月16日掲載開始分まで。2022年8月17日掲載開始分からは入札制に移行。
以上の特徴からターゲティングディスプレイ広告は、ターゲットを絞って効果的・戦略的にバナー広告をおこないたい方におすすめです。
ターゲティングディスプレイ広告にかかる費用
ターゲティングディスプレイ広告の掲載料金は、以下の式で計算されます。
※50,000円~設定できる月予算が上限額となるため、表示された分際限なく掲載料金がかかり続けてしまうという心配はありません。
広告の表示回数
ターゲティングディスプレイ広告の表示回数は、厳密にいうと「ユーザーにバナー広告の50%以上が1秒以上表示された回数(=Vimp)」です。
クリック課金型広告のRPPなどと異なり表示されるだけで費用がかかってしまいますが、スクロールで一瞬表示されたものなどは含まれないことを知っておきましょう。
Vimp課金型広告はユーザーに見られた可能性が高い場合のみカウントされるため、無駄のない広告運用が期待できます。
配信単価
ターゲティングディスプレイ広告の配信単価とは、Vimpが発生するごとにかかる料金のことです。
2022年8月16日までのキャンペーンについては選択したパッケージごとに配信単価が設定されていましたが、2022年8月17日以降のキャンペーンについては入札制が導入されます。
◆配信開始日が2022年8月16日までのキャンペーン
・ターゲット(セグメント)指定ができる「ターゲティングパッケージ」を選択した場合
→0.75円/Vimp
・ターゲット(セグメント)を指定しない「ノンターゲティングパッケージ」を選択した場合
→0.3円/Vimp
◆配信開始日が2022年8月17日以降のキャンペーン
→0.75~10.00円/Vimpの範囲で設定(入札制)
ターゲティングディスプレイ広告の掲載箇所
ターゲティングディスプレイ広告は、楽天市場内の以下のような箇所に掲載されます。
ランキングページや閲覧履歴など、これまでの広告では接触できなかった場所に掲載される点が特徴です。
【ターゲティングディスプレイ広告の掲載箇所】
・楽天市場TOPページ
・ランキングページ
・閲覧履歴
・購入履歴
・お買い物マラソン
・スーパーSALE
・ブックマーク
…など
なおバナーのクリック先については、商品ページをはじめ店舗トップページやGOLDページ、カテゴリーページから指定できます。
ターゲティングディスプレイ広告の設定方法
ターゲティングディスプレイ広告の設定は、RMS内のプロモーションメニューから簡単におこなうことができます。
ここではターゲティングディスプレイ広告の設定方法として、以下3つの手順をわかりやすく解説します。
※以下手順は執筆(2022年8月)時点での情報です。詳細については以下の楽天公式ページをご確認ください。
(閲覧にはRMSへのログインが必要です。ログイン後に下記URLをクリックしてください。)
店舗運営Navi [ターゲティングディスプレイ広告(TDA)] キャンペーンを登録する
RMSトップページ下部の「店舗運営Navi」>「広告・販促・分析」>「ターゲティングディスプレイ広告(TDA)」からでも確認できます。
キャンペーンの登録方法
1.楽天プロモーションメニューから、「ターゲティングディスプレイ広告(TDA)」の「キャンペーン」タブを開きます。
2.「新規登録」ボタンをクリックします。
3.「キャンペーン新規登録」画面が表示されたら、各項目を入力または選択します。
【キャンペーン名】
任意のキャンペーン名を設定します。
広告には表示されないため、分かりやすい名前を付けると良いでしょう。
【キャンペーン期間】
キャンペーンの開始日時と終了日時を設定します。
「登録日より過去」「登録日から6営業日以内」「登録可能件数上限に達している」場合は指定できないため注意しましょう。
【予算】
最低予算額を50,000円として、月の予算を設定します。
こちらで設定した予算が、月の掲載料金の上限となります。
【入札単価】
0.75~10円の間(0.05円刻み)で、Vimpが発生した際の配信単価を設定します。
「パフォーマンスレポートの結果から入札単価を微調整する」などして、バナー広告が掲載される最適な単価設定を目指しましょう。
【配信ペース】
「アクセス量に合わせて最大配信」または「予算を日ごとに均等配信」から、広告の配信ペースを設定します。
「アクセス量に合わせて最大配信」の場合キャンペーン期間中に予算を消化しきる可能性があるほか、配信ペースの途中変更はできないため注意しましょう。
【設定URL】
「商品ページをリンク先に設定する」または「店舗トップページ、カテゴリーページ、GOLDページをリンク先に設定する」から、バナー広告クリック時のジャンプ先URLを設定します。
設定URLの途中変更はできないため、キャンペーンの目的に合わせて慎重に選びましょう。
【対象セグメント】
キャンペーンの対象にしたいセグメント(=バナー広告を配信するターゲットユーザー)を設定します。
詳しくは「セグメントの設定方法」で解説します。
なお予算と対象セグメント、ステータス(キャンペーンの停止)については、キャンペーン配信中でも変更可能です。
4.規約を確認したら、以下の2つにチェックを入れて「保存する」ボタンをクリックします。
「ターゲティングディスプレイ広告(TDA)規約の内容を確認しました。」
「」
セグメントの設定方法
1.キャンペーン新規作成画面で「セグメントを選択」ボタンをクリックします。
2.「セグメント設定」ウィンドウが開いたら、ターゲットとしたいセグメントの要素(を含むか除くか)にチェックを入れて「選択を追加」ボタンをクリックします。
【会員登録情報】
年齢、性別、会員ランク、居住地域を指定できます。
【閲覧履歴】
閲覧履歴をカテゴリー単位で指定できます。
【イベント興味】
各イベントへの興味と、大型イベントにおける最大買い回り数(過去1年間)を指定できます。
【購入履歴】
購入履歴をカテゴリー単位で指定できます。
【ユーザー傾向】
優良会員を指定できます。
【3ヶ月以内3回以上購買】
3ヶ月以内3回以上購買したかどうかを、カテゴリー単位で指定できます。
【自店舗来訪履歴・自店舗購入履歴】
自店舗の来訪履歴・購入履歴について、過去2年間のデータに基づいて指定できます。
またRakuten AIrisを用いて、商品の購入実績から選出された「購入見込みユーザー」をターゲットとして自動設定することも可能です。
【Rakuten AIrisとは?】
Rakuten AIrisは、楽天のもつビッグデータに基づいてターゲティングやマーケティング分析をおこなう楽天のAIエージェントです。
ターゲティングディスプレイ広告では、対象として設定した購入実績があるユーザーと近い特性を持つユーザーを「購入見込みユーザー」として選出する際に利用できます。
簡単にいうと、自社商品を買ったことのあるお客様と似たユーザーを探して新規ターゲットとして指定してくれるということです。
3.「セグメント設定指標を確認する」ボタンを押して、広告の配信量をシミュレーションします。
セグメント設定指標が黄色または赤色の場合は効果的に広告配信がおこなえない可能性があるため、セグメントや入札単価の再設定を検討しましょう。
【セグメント設定指標の4段階評価】
1.配信機会が充分見込めます。
2.配信機会が見込めます。
3.配信機会が少ない見込みです。
4.配信機会が非常に少ない見込みです。
バナーの入稿方法
1.キャンペーン一覧画面でバナー入稿をおこないたいキャンペーンを探し、「原稿」欄から「未入稿」をクリックします。
2.「広告原稿を入力する」画面が表示されたら、各項目を入力または選択して「入力内容を確認」ボタンをクリックします。
【バナー素材】
バナー広告の画像ファイルを選択します。「jpg/gif/png」いずれかのファイルで、以下4つのサイズパターンが必要です。
①「1,280px × 200px」(パソコン/スマートフォン)
②「880px × 320px」(スマートフォン)
③「400px × 800px」(パソコン)
④「480px × 360px」(パソコン)
【リンク先URL】
バナー広告クリック時のジャンプ先URLを設定します。
「セグメントの設定方法」で指定したページのURLを入力する必要があります。
【連絡事項】
連絡事項が必要な場合に入力します。
3.キャンペーン一覧画面でバナー入稿をおこないたいキャンペーンを探し、キャンペーン開始日までに以下の状態になっていることを確認します。
・「ステータス」開催前
・「原稿」審査完了
ターゲティングディスプレイ広告の活用方法
ターゲティングディスプレイ広告の効果を最大限得るための活用方法として、今回は以下の3つをご紹介します。
目的に応じてターゲティングをおこなう
ターゲティングディスプレイ広告では、目的に応じてセグメントの設定をおこなうことが有効とされています。
以下のようにまずは広告の目的を明らかにした上で、それぞれの目的に適したセグメント設定をおこないましょう。
【認知促進】幅広いユーザーへのアプローチを目的とする場合
→「年齢」「性別」「会員ランク」など、会員情報に基づいてセグメント設定する
【興味促進】商品に興味があるユーザーへのアプローチを目的とする場合
→「○○ジャンル閲覧履歴」「○○ジャンル購買履歴」など、商品の関連ジャンルに基づいてセグメント設定する
【購買促進】実際に商品購入につながるユーザーへのアプローチを目的とする場合
→Rakuten Irisを用いた購買実績の拡張ターゲティングにより、自店舗商品購入ユーザーの類似ユーザーをセグメント設定する
【リピート促進】リピートにつながるユーザーへのアプローチを目的とする場合
→「○○ジャンル3カ月以内3回以上購入」など、購入実績に基づいてセグメント設定する
マーケティングレポートをターゲティング選定の参考にする
ターゲティングを設定する際は、行動分析レポートや顧客分析レポートを活用することが非常に有効な手段です。
各レポートを活用することで、ターゲティングディスプレイ広告で目指すべき目的とターゲットが明らかになるためです。
【マーケティングレポートの確認方法は?】
マーケティングレポートは、RMSトップページの「データ分析」>「5 販促効果測定」から確認できます。
行動分析レポートを活用する方法
行動分析レポートでは、ユーザーの行動を「認知・興味・購入」の3つに分けてどのフェーズに課題があるのかを確認できます。
これらのフェーズは先ほど「目的に応じてターゲティングをおこなう」でお話した目的に対応しているため、行動分析レポートで課題を見つけたら取るべきアプローチを明らかにできます。
例えば「認知や興味に問題はないものの購入に至っていない」といった課題が見えた場合は、「Rakuten Irisを用いた購買実績の拡張ターゲティングで、購入する可能性が高い層にアプローチする」といった対応が可能です。
まずは行動分析レポートによって、どこに課題があってどの層にアプローチすべきかを明らかにしましょう。
顧客分析レポートを活用する方法
顧客分析レポートでは、自店舗の訪問者や購入者の属性や興味・行動に関するデータの確認が可能です。
具体的には、例えば「自店舗の購入者は30代女性が多く、食品ジャンルでよく商品を購入している」といったことがわかります。
このため顧客分析レポートを活用すると、「自店舗はどのようなユーザーに好まれやすいか」が判断できます。
顧客分析レポートによって、アプローチすべきターゲットの属性や性質を深掘りしましょう。
パフォーマンスレポートの結果から入札単価を微調整する
パフォーマンスレポートでは、Vimp数やクリック数のほか、CTR(クリック率)やROAS(広告の費用対効果)などさまざまなデータが確認できます。
これらのデータはターゲティングディスプレイ広告を効果的に運用するために重要ですが、入札制に移行してからはパフォーマンスレポート分析の重要度がさらに増します。
入札制では表示される広告に限りがあるため、以下のようにレポート結果を確認しながら入札単価を微調整しましょう。
【パフォーマンスレポートを用いた入札単価調整の例】
・広告効果に余裕がある、予算消化率が不十分な場合
→入札単価を上げる
・広告効果が悪い、予算消化率が高すぎる場合
→入札単価を下げる
…など
ターゲティングディスプレイ広告に関するよくある質問
最後にターゲティングディスプレイ広告に関するよくある質問として、以下の3つにお答えします。
【ターゲティングディスプレイ広告に関するよくある質問】
ターゲティングディスプレイ広告はどんな人におすすめ?
ターゲティングディスプレイ広告は、以下のような人におすすめです。
【ターゲティングディスプレイ広告がおすすめな人】
〉商品の認知施策をおこないたい
〉ターゲティングをおこなって効率的に訴求したい
〉自由にバナーを作成してさらに訴求力を高めたい
〉商品の知名度が高いなど、元々のブランド力がある
〉RPP広告やクーポンアドバンスでこれ以上の運用改善が難しいが、更に見込み客を増やしたい
入札制で優先的に配信されるための戦略は?
配信優先度は入札単価のほかに、予算、ターゲティングセグメント、期間、配信ペースなどさまざまな要素に従って決定します。
競合に勝って優先的に配信されるためには、それぞれの要素についてデータに基づいてPDCAを回すことが重要です。
「入札単価についてはパフォーマンスレポートを確認する」「予算やターゲティングセグメントについてはセグメント設定指標を確認する」など、楽天で確認できるデータは全て活用して広告配信枠の獲得を目指しましょう。
ターゲティングディスプレイ広告の注意点は?
ターゲティングディスプレイ広告を運用する際は、以下の点に注意しましょう。
〉バナー用意や審査に時間がかかる
バナーは計4サイズ用意する必要があり、原稿の審査には6営業日かかります。
キャンペーンの登録は、配信開始の10営業日前程度の余裕を持っておこないましょう。
〉キャンペーン登録件数が上限に達する場合がある
出せる広告の件数は決まっているため、キャンペーン登録件数が上限に達すると広告を登録できない場合があります。
特にスーパーセール期間中やイベント+5のつく日はすぐ埋まってしまうため、配信開始の10営業日前になったらすぐにキャンペーンを登録しましょう。
〉バナー作成のレギュレーション・審査が厳しい
バナー作成は、色数制限やフォントサイズなどの細かいクリエイティブレギュレーションに基づいておこなう必要があります。
これらのレギュレーションを満たしていないと審査を通過できないため注意しましょう。
〉広告として掲載できない商品がある
医薬品や動物用医薬品のほか、電子書籍などのデジタルコンテンツは入稿できません。
また予約商品や定期購入商品、頒布会商品も広告掲載できないことを知っておきましょう。
〉酒類・タバコ類は20歳未満に広告表示されない設定が必要
酒類・タバコ類を掲載する場合は、20歳未満に広告表示されないようにセグメント設定する必要があります。
ターゲティングディスプレイ広告:まとめ
今回は、ターゲティングディスプレイ広告の特徴や設定方法、活用方法について解説しました。
セグメント(=ターゲット)もバナーも自由に設定できることが強みのターゲティングディスプレイ広告ですが、セグメント設定や入札単価を最適化するためには楽天市場でのマーケティングに対する深い理解が必要です。
ファイブスプリングスでは今回ご紹介した設定の代行や、分析~戦略立案~実行まで一貫してサポートするコンサルティングサービスをご提供しています。
「ターゲティングディスプレイ広告を効果的に運用したい」「新しい入札制にいち早く対応したい」という方は、ぜひ一度お問い合わせページからお気軽にご相談ください。
太田 薫(おおた かおる)
株式会社ファイブスプリングス 代表取締役
元楽天ECコンサルタント、その後楽天MVP獲得店舗の統括部長。 ■無料相談■ |