2023.09.05
こんにちは、ファイブスプリングスです。
楽天市場には、商品の最適なポイントを自動的に設定してくれる「運用型ポイント変倍」と呼ばれるサービスが存在します。
売上が確保できる最低限のポイントを割り出した上で浮いたコストをRPPで自動運用するサービスのため、ポイントコストを最適化しながらRPPによるアクセスアップまで狙うことが可能です。
そこで今回は楽天の運用型ポイント変倍について、その特徴からメリットやデメリット、利用方法まで解説します。
効果的に運用するための活用方法についてもあわせて解説するため、運用型ポイント変倍を利用して商品のポイント設定を最適化したい方はぜひ最後までご覧ください。
【本記事でわかること】
◎運用型ポイント変倍とは何か
◎運用型ポイント変倍のメリット・デメリット
◎運用型ポイント変倍の利用方法・活用方法
目次
運用型ポイント変倍とは
運用型ポイント変倍とは、商品ごとの最適なポイント変倍をAIが自動的に算出・更新してくれる楽天のサービスのことです。
楽天出店者であれば無料で利用できるサービスで、以下2つの特徴を備えています。
(※ポイント分の金額は店舗負担となります。)
【特徴①】ポイントコストの最適化 |
設定した上限変倍率の範囲内で、同程度の売上が確保できる最適な変倍率を自動的に設定します。 例えば上限変倍率を10倍とした場合でも、8倍で同程度の売上が確保できると判断されれば8倍のポイント変倍率が設定されます。 |
【特徴②】RPPへの自動再投資 |
最適化によって浮いたポイントコストを、RPP(検索連動型広告)に自動で再投資します。 ポイント変倍率が10倍から8倍に最適化された例で言えば、差額分となるポイント2倍分の金額がRPPの予算として積み立てられて自動的に運用されます。 |
このように運用型ポイント変倍は、ポイント設定の自動化・最適化をおこないながら広告による集客をおこなえるサービスです。
「最適なポイント設定をAIに任せたい店舗」や「コストをかけずに広告を運用したい店舗」におすすめのサービスといえるでしょう。
【RPP(検索連動型広告)とは?】
RPP(検索連動型広告)は、楽天サーチの検索結果最上部に[PR]として商品を表示する楽天の広告です。
RMSに登録している商品の中からユーザーが検索したキーワードと関連性の高い商品が自動的に表示されるため、購買意欲の高いユーザーに効果的にアプローチすることが可能です。
RPPについては以下の記事で概要や攻略方法を解説しているため、ぜひあわせてご確認ください。
運用型ポイント変倍のメリットとデメリット
運用型ポイント変倍の基本について押さえたところで、メリットとデメリットについても見ておきましょう。
運用型ポイント変倍には以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット | デメリット |
〉無駄や機会損失を削減できる | 〉ポイント変倍率の更新は1日1回 |
【メリット①】無駄や機会損失を削減できる
運用型ポイント変倍は設定上限倍率や見込み売上の範囲内でポイントコストを最適化するため、以下のような事態を回避できます。
【ポイントコスト最適化で回避できる事態】
・不要に高い変倍率を設定することで生じる無駄なポイントコスト
・競争力のない低い変倍率を設定することで生じる集客・売上機会の損失
実際に楽天公式が発表しているデータによると、運用型ポイント変倍を運用した店舗では毎月約20%のポイントコスト削減に繋がっているとされています。
さらにポイントコストの削減に留まらず、売上アップに繋がっているケースも少なくありません。
【メリット②】ポイント設定の手間を削減できる
運用型ポイント変倍は、金銭的なコスト削減だけでなく時間的なコスト(手間)の削減にも繋がります。
商品ごとに上限変倍率だけ設定しておけば、ポイント設定の算出や更新を自動化できるためです。
運用型ポイント変倍を導入することで、ポイント設定にかかる以下のような作業は不要となります。
【運用型ポイント変倍で削減できる手間】
・イベントの度に各商品のポイント変倍率を変える
・最適なポイント変倍率を考えるために競合を調査する
【メリット③】コストをかけずにRPPを始められる
運用型ポイント変倍では浮いたポイントコストで自動的にRPPが運用されるため、広告コストをかけずにRPPによる集客アップが期待できます。
運用はすべて自動化されるため店舗側での設定をおこなう必要もなく、時間的な観点からも全く手間をかけずにRPPをはじめられます。
なおRPPへの自動再投資は、最適化で生じた差額が5,000円に到達次第最短翌日から当月末までの予算として配信・運用されます。
【運用型ポイント変倍によるRPP運用の流れ】
・すでにRPPを利用中の場合:登録予算を消化しきった後に、予備予算として運用されます。
・RPPを利用していない場合:最適化による差額が5,000円に到達次第、本予算として運用されます。
運用型ポイント変倍によるRPPはROAS1,000%以上で運用されているという実績もあるため、下手に運用されるという心配もありません。
安定して差額分が生じれば毎月継続的にRPPを運用できるようにもなるため、これまでイベント時のみRPPをおこなっていたなど広告予算をかけることが難しい店舗にもおすすめの機能といえるでしょう。
【メリット④】価格を変えづらい商品にも有効
運用型ポイント変倍はあくまでもポイント変倍率を最適化する機能のため、価格を変えて勝負することが難しい商品にもおすすめの機能です。
メーカー規制などにより価格を変えることが難しい場合も、ポイントを最適化することで競争力を上げることができます。
またRPPに予算が回ることでより多くの顧客にアクセスできるようになるため、価格以外でアピールが届く可能性も高くなります。
【商品価格の最適化には『PIOP』がおすすめ!】
楽天にはポイントコストを最適化する運用型ポイント変倍のほかに、商品価格を最適化する「PIOP」というサービスも存在します。
PIOPについては以下の記事で仕組みや利用方法・活用方法を解説しているため、商品価格の最適化・自動化に興味がある方はぜひあわせてご確認ください。
【デメリット①】ポイント変倍率の更新は1日1回
運用型ポイント変倍では、ポイントの最適倍率が深夜に算出されて早朝に反映される仕組みとなっています。
ポイント変倍率の更新は1日1回であり、時間単位で変倍率を最適化する必要があるような商品には向かないため注意しましょう。
どうしてもポイント変倍率で優位を取りたい商品に関しては、競合の動向を確認しながら手動で細やかに変倍率を最適化していく必要があります。
【デメリット②】設定できるポイント変倍率は5倍から
運用型ポイント変倍で設定できるポイント変倍率は、5倍~20倍となっています。
以下のように他のポイント施策と比べると下限が高めに設定されているため、低変倍率を設定したい商品には向いていません。
【各ポイント施策で設定できるポイント変倍率】
店舗別ポイント変倍 | 商品別ポイント変倍 | 運用型ポイント変倍 |
2倍~10倍 | 2倍~20倍 | 5倍~20倍 |
【デメリット③】商品によっては変倍率の算出に時間がかかる
運用型ポイント変倍では、ポイント実績が少ない商品では最適倍率の算出に時間がかかります。
最適倍率の算出は過去のポイントと売上の関係性などを基におこなわれるためです。
なおポイント実績がない商品で運用型ポイント変倍を利用した場合は、しばらく設定した上限変倍率で実績を作ってから徐々に最適化されるという流れになります。
【デメリット④】倍率を明記してポイントをアピールできない
運用型ポイント変倍による最適倍率は日々更新されるため、「ポイント10倍キャンペーン」など固定倍率を記載したポイントアップアピールは難しくなります。
「10倍」など固定倍率で記載すると有利誤認となり違反点数制度の対象となる可能性もあるため、「ポイントアップ実施中」などの表現に留めておきましょう。
また仮に上限変倍率を10倍としていても最適化の結果10倍の商品が含まれない場合もあるため、「最大10倍」などの表記も避けることをおすすめします。
【基本編】運用型ポイント変倍の利用方法
ここからは運用型ポイント変倍の基本的な利用方法について解説します。
運用型ポイント変倍の設定は商品編集ページから個別的におこなうこともできますが、CSV商品一括編集機能を使ってまとめておこなうことも可能です。
運用型ポイント変倍の申し込み方法
運用型ポイント変倍の申し込みは、RMSの「オプション機能申込・解約」ページからおこなえます。
利用料金は無料となっており、また解約の際も同じページからおこなうことができます。
(※テキストリンクをクリックすると申し込みページを開くことができます。
RMSへのログインが必要なため、ログイン後テキストリンクをクリックしてください。)
【商品個別】運用型ポイント変倍の設定方法
運用型ポイント変倍を商品ごとに個別で設定する場合は、RMSの商品編集ページから以下の手順でおこないます。
1.RMSから運用型ポイント変倍を設定したい商品の編集ページにアクセスします。
2.「商品別ポイント変倍情報」の項目を、以下の通り設定します。
【運用型ポイント変倍】
「設定する」にチェックを入れます。
【ポイント変倍率】
5倍~20倍の範囲で設定します。
【ポイント変倍適用期間】
最短24時間~最長60日間の範囲で設定します。
開始日時は最短で登録操作時の2時間後から設定可能です。
他のポイント施策と同様、適用期間中のキャンペーン変更・中止はできないため注意しましょう。
3.「更新」ボタンをクリックして商品情報を更新したら完了です。
【CSV】運用型ポイント変倍の設定方法
運用型ポイント変倍の利用を開始すると、CSV一括編集項目に「運用型ポイント変倍」の項目が追加されます。
ポイント変倍に関わる3つの項目を、商品ごとに以下の通り設定します。
【運用型ポイント変倍】
設定する場合は「1」を入力します。
【ポイント変倍率】
5倍~20倍の範囲で設定します。
【ポイント変倍適用期間】
最短24時間~最長60日間の範囲で設定します。
開始日時は最短で登録操作時の2時間後から設定可能です。
他のポイント施策と同様、適用期間中のキャンペーン変更・中止はできないため注意しましょう。
【CSVでの一括設定には『CSV商品一括編集機能』が必要】
運用型ポイント変倍をCSVで一括設定するためには、別途『CSV商品一括編集機能』の利用が必要です。(月額11,000円[税込])
CSV商品一括編集機能については、申し込み方法や基本的な使い方などはわかりやすく解説している以下の記事をご確認ください。
【応用編】運用型ポイント変倍の活用方法
運用型ポイント変倍の基本的な利用方法を押さえたところで、応用編として効果的な活用方法も見ていきましょう。
運用型ポイント変倍の効果的な活用方法としては、以下の3つがあげられます。
まずはトライアル運用してみる
運用型ポイント変倍に興味はあるものの効果などに不安がある場合は、まずは以下のように商品数や期間を絞ってトライアル運用してみることをおすすめします。
ただし販売実績が少ない商品だけで運用すると効果検証が難しくなるため、なるべく販売実績のある商品を含めて検証するようにしましょう。
・設定商品数を絞る
運用型ポイント変倍は、商品ごとに設定できます。
売れ筋商品など、ポイント販売実績の豊富な商品を中心に商品選定してみると良いでしょう。
・期間設定を限定する
運用型ポイント変倍の適用期間は、最短24時間~最長60日間の範囲で設定できます。
1週間やイベント期間中のみなど、まずは短期で運用してみると良いでしょう。
R-Karteで効果を検証する
ポイント設定をAIにお任せできることが魅力の運用型ポイント変倍ですが、しっかりと効果検証をおこなって設定を調整することでより効果的に運用できます。
運用型ポイント変倍の運用データは、R-Karteの「店舗データ」や「商品データ_運用型ポイント」からCSVデータで確認できます。
【各データで確認できる運用型ポイント変倍に関するデータ】
・運用型ポイント変倍経由売上金額
・運用型ポイント変倍経由売上件数
・運用型ポイント変倍経由ポイント付与料
・運用型ポイント変倍経由RPP売上金額
・運用型ポイント変倍経由RPP実績額
…など
※運用型ポイント変倍経由のRPPデータについては、R-Karteからのみ確認できます。
プロモーションメニューのRPPページには反映されないため注意しましょう。
別のポイント施策と組み合わせる
ポイントの最適化ができる運用型ポイント変倍ですが、必ずしもすべての商品を運用型ポイント変倍に設定する必要はありません。
店舗で決めた固定倍率で勝負したい商品がある場合などは、店舗別ポイント変倍や商品別ポイント変倍と組み合わせながら運用すると良いでしょう。
また一部商品を固定倍率で設定しておくことで、倍率を明記したポイントアピールもできるようになります。
例えば「ポイント最大10倍」とアピールしたい場合は、商品別ポイント変倍で固定倍率を設定してポイント10倍商品がある状況を作りましょう。
運用型ポイント変倍に関するよくある質問
最後に運用型ポイント変倍に関するよくある質問として、以下3つにお答えします。
【運用型ポイント変倍に関するよくある質問】
高頻度のポイント更新でクレームやトラブルに繋がらない?
運用型ポイント変倍ではポイント更新に基づくトラブルを避けるために、以下のような対策がなされています。
【ポイント更新に基づくトラブルの回避策】
・一番受注が少ない時間帯(深夜~早朝)に変倍率を算出・設定する
・「かごに入れた時点と決済時の倍率が異なる可能性」を顧客にアラートで注意喚起する
クレームやトラブルに関しては「必ず発生しない」とは言い切れませんが、十分なトラブル回避策が用意されているといえるでしょう。
RPPでクリック単価やキーワード、除外商品の設定はできる?
運用型ポイント変倍経由でRPPを運用する場合、除外商品は反映されますがクリック単価やキーワードは自動的に設定されます。
運用型ポイント変倍のRPP運用は自動運用となっており、RPPに関する各種設定は基本的にAIによってROAS重視で自動的に設定されます。
仮に手動でクリック単価やキーワードを設定したとしても、必ずしも反映されるわけではなく参照される程度に留まるため注意しましょう。
複数のポイント施策を実施している場合はどの倍率が適用される?
「運用型ポイント変倍」と「店舗別ポイント変倍」など、複数のポイント施策を実施している場合は優先度が高い施策が適用されます。
複数のポイント変倍率が加算されたり、最も高いポイント変倍率が適用されたりといったことはないため注意しましょう。
ポイント施策の優先度は以下の通りです。
低 | <<< 優先順位 >>> | 高 |
店舗別ポイント変倍 | 運用型ポイント変倍
商品別ポイント変倍 |
DEALポイントバック |
※運用型ポイント変倍と商品別ポイント変倍は併用不可のため、どちらか一方しか設定できません。
運用型ポイント変倍とは:まとめ
今回は楽天の運用型ポイント変倍について、その特徴からメリットやデメリット、利用方法や活用方法まで解説しました。
コストをかけずにポイント最適化やRPP運用ができる運用型ポイント変倍ですが、戦略的に運用していくためには商品選定や上限変倍率、適用期間を細かく調整する必要があります。
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「ポイント変倍率の最適化で悩んでいる」「運用型ポイント変倍の導入について相談したい」という方は、ぜひ一度お問い合わせページからお気軽にご相談ください。
太田 薫(おおた かおる)
株式会社ファイブスプリングス 代表取締役
元楽天ECコンサルタント、その後楽天MVP獲得店舗の統括部長。 ■無料相談■ |