2022.09.05
こんにちは、株式会社ファイブスプリングスです。
今回は、ズバリ楽天市場で利益を出す方法についてお話します。
楽天を中心にお話しますが考え方はEC全般で応用できるため、ECの利益を最大化させたい方には必見の内容となっています。
記事の最後で月ごとの利益計算が簡単にできる(更新約5分)【利益計算テンプレート】も無料でダウンロードできるため、ぜひ最後までお読みください。
【本記事でわかること】
◎楽天市場で店舗運営をする際のコスト構造が理解できる
◎利益の計算方法が理解できる※利益計算が簡単にできる(更新約5分)エクセルダウンロード可能!
◎具体的な利益改善の方法が理解できる
目次
【前提】ECの利益を計算する方法
まずは前提として、EC事業での利益計算方法についてお話します。
利益は「売上 - コスト」で計算できますが、さらにECに必要なコストを分解して書いた場合の計算式は以下のとおりです。
ECの利益計算式 |
利益 = 売上 -(商品原価 + 手数料 + 物流費 + 販促費 + 固定費) |
EC事業を展開する際は、こちらの計算式をベースとして利益計算や目標利益の設定をおこないます。
売上やコストが明らかな場合はそのまま数値を代入していくことで利益が算出できますが、目標利益を設定する場合は売上やコストについても目標額を設定しましょう。
目標売上にはコストを支払っても損益分岐点や目標利益額を満たせる額を設定しますが、損益分岐点が高くなってしまわないように固定費を最小限に抑えることがポイントです。
このように利益計算を通して、目指すべき利益・売上の設定やコストの見直しをおこないましょう。
【利益率の目安は?】
ネットショップは小売業のため、中小企業の場合は3.5%、大企業の場合は1.0%が営業利益の目安となります。
利益を改善する10の方法
利益を改善する方法は、大きく「売上を上げる」「コストを下げる」の2つです。
「利益 = 売上 - コスト」という利益の計算式を思い出していただければ分かりやすいのではないでしょうか。
ここではそれぞれのより具体的な方法として、以下10個の利益改善策をご紹介します。
売上を上げる方法 | コストを下げる方法 |
・販売ターゲットを広げる | ・楽天市場のコスト構造を理解する |
【売上アップ策①】販売ターゲットを広げる
同じ商品でもターゲットを変更・拡大するだけで、売上の向上が見込めます。
例えば絵具が商材の場合、絵を描く人だけでなく、プラモデルを作る人やミニチュアの立体作品を作る人にも販路を広められます。
【売上アップ策②】商品ジャンルを増やす
取扱商品ジャンルを増やすことでも、売上アップを図ることができます。
例えばパワーストーンが商材の場合、ディスプレイ用のケースや布、開運グッズなどが関連商材として考えれらます。
【売上アップ策③】販売先を増やす
販路を拡大することも、売上の向上につながります。
例えばAmazonやYahoo!ショッピングなどのモール展開を増やしたり、自社サイトやSNSでの販売をおこなったりすることで販路を広げられます。
【売上アップ策④】キャンセル、返品を減らす
キャンセル・返品を減らすことで、売上の低下を抑えることができます。
返品は売上の低下だけでなく送料や保管費のコスト増加も招くため、極力抑える努力が必要です。
(実際に売上が5000万円ある店舗様で、返品率を1%下げるだけで約100万のキャンセルを阻止できたケースもあります。)
やみくもに返品を受け付けないように、返品についての規定(返品特約)を設定しましょう。
また、以下のようにあらかじめ商品ページに品質や納期についての説明を加えることも有効です。
【品質や納期の説明例】
・訳あり商品のため、大きさが不ぞろいになっております。皮も汚れていることがございますが、中身に問題はございません。
・バレンタインデーまでにお届けの場合、ご注文は2/8までにお願いいたします。それ以降のご注文の場合は、バレンタインデーまでに届かない可能性が生じます。
【コストダウン策①】楽天市場のコスト構造を理解する
楽天市場でのコストを最小限に抑えるためには、まず楽天市場のコスト構造について理解することが重要です。
楽天市場の運営にかかるコストには「変動費」と「固定費」がありますが、それぞれの内訳は以下のようになっています。
【変動費】
・商品原価:製造原価、作業費、輸送費、中間マージン、商品外装
・手数料:システム利用料、決済手数料
・物流費:送料原価、資材費、作業費(外注費)
・販促費:広告、値引き(クーポン含む)、ポイント費、アフィリエイト費、メルマガ配信費
【固定費】
出店料、ツール月額、外注費、人件費、倉庫費用、家賃、その他固定費
※楽天ならではのコストとして、変動費ではシステム手数料や決済手数料、広告やポイントなどの販促費が、固定費では出店料やツール月額費用がかかります。
利益を最大化させるためには、これらのコストをいかに抑えられるかがポイントとなります。
【コストダウン策②】商品原価を減らす
商品原価を減らす方法としては、コスト別に以下の改善策があげられます。
製造原価を減らす方法 |
【ボリュームディスカウントを交渉する】 発注量を増やすことで、メーカーより値引きしてもらえる場合があります。 基準はメーカーや商品によってまちまちですが、新規仕入れ契約および販売規模拡大のタイミングでボリュームディスカウントを交渉してみましょう。 交渉例)数量増やした場合ディスカウントは可能か、積送費を抑えるためにはどうしたらいいか、などまた合わせて相見積もりを取ることで、新規の仕入れ先と比較することも有効です。 |
【同素材で他の商品を作る】 大量に発注した原材料は、他の商品の作成にも転用していきます。 例)シルクマスクを作っている場合、同じシルクを原料にして枕カバーの新商品を作成するなど |
【材料/仕様を変更する】 材料を価格の低いものや流通量の多いものに変更することで、コストカットが可能です。 また、商品パーツの仕様を製造コストが安いものに変更することも有効です。 例)洋服を作っている場合、飾りボタンを価格の安いものに変更する、ポケットの仕様を縫いやすいものに変えるなどただし「こだわりの原材料」「手間暇かけた職人技」などが商品の売りになっている場合、こちらの方法は避けましょう。 リピーターのお客様からレビューで低評価を受けるなど商品の評判に影響するリスクがあるため、あくまでもお客様目線で気にならない部分でコストカットをおこなうことがポイントです。 |
【材料の調達場所を変える】 材料の仕入れ先を変えることで、コストカットできる場合があります。 例)仕入先を首都圏のメーカーから地方メーカー・海外メーカーに変えるなど |
【生産場所を変える】 工場を海外に変更することで、コストカットできる場合があります。 ただし新型コロナウイルスのロックダウンなど政情によって生産や流通が止まるリスクもあるため、生産国の選定は慎重におこないましょう。 また同じ海外でも、都市部とそれ以外で人件費が違うことがある点にも注意が必要です。 |
【商品外装で余計なオプションを減らす】 梱包材や緩衝材、ラッピングを最適化することで、コストカットにつながります。 例)梱包材やラッピングをメジャーなものに変える、商品サイズぴったりの段ボールを使うことで緩衝材を節約するなど (実際に段ボールサイズを見直したことで、段ボール保管スペースが小さくなり梱包の作り置きがたくさんできたケースもあります。) |
【円高時にドルをまとめて購入する】 海外との取引はドルで行うことが多いです。 これを利用して、あらかじめ円高の時に日本円をドルに換えておきます。 支払い時に購入時よりも円安になっていましたら、ドルで支払い為替利益を出すことが出来ます。 |
作業費を減らす方法 |
【定期的に安定して仕事を依頼する】 継続的・安定的に仕事を依頼することで、作業費を低く抑えられる可能性があります。 |
【閑散期に生産する】 閑散期に生産することで、人件費・作業費を削減できます。 繁忙期は人件費が高くなる傾向があるため、余裕を持ったスケジュールで閑散期を狙いましょう。 |
輸送費を減らす方法 |
【混載輸送を利用する】 他の会社の商品と相乗りで発送を依頼することで、輸送費を節約できます。 |
【余裕を持った発注で船便輸送を利用する】 荷物量や輸入する相手によってはコンテナを仕立てた方が、混載よりも安くなるケースがあります。 スケジュールがギリギリになると航空便を使ってしまいがちですが、輸送料金が約3倍かかります。 船便が使えるよう、余裕をもってスケジュールを立てましょう。 |
中間マージンを減らす方法 |
【直貿をする】 仲介業者を挟まずに現地のメーカー・倉庫と直接取引をすることで、中間マージンを削減できます。 自社側にもそれなりの言語・交渉スキルが必要になるため、場合によっては採用費や人件費で損をしてしまうケースもある点に注意しましょう。 |
【コストダウン策③】手数料を減らす
手数料を減らす方法としては、楽天市場の場合出店プランの変更が最も有効です。
楽天には3つの出店プランがありますが、出店プランによって必要となる手数料が大きく異なるためです。
楽天の出店プランについては、各プランの特徴やプラン選びの考え方について分かりやすくまとめた以下の記事をご確認ください。
【コストダウン策④】物流費を減らす
物流費を減らす方法としては、コスト別に以下の改善策があげられます。
送料原価を減らす方法 |
先述のボリュームディスカウントや配送会社変更のほか、配送方法を変更することも有効です。 メール便で送れる小さな商品やサンプルはメール便を使う店舗様が多いですが、配送御者やプランによっては追跡がないケースもあるため高額商品や1点物の場合は避けましょう。 |
資材費を減らす方法 |
購入場所の変更や資材変更、サイズ変更で対応します。 キャッシュに余裕がある場合は、多めに一括購入することも一つの手です。 |
作業費(外注費)を減らす方法 |
外注の場合も、倉庫を見るなどして効率化の提案ができないか確認します。 また、効率の把握や提案とあわせてディスカウントの交渉もおこないましょう。 |
【コストダウン策⑤】販促費を減らす
販促費を減らす方法としては、以下の改善策があげられます。
販促費を減らす方法 |
【自然検索・リピーターを増やして広告費を減らす】 RPPをかけて一度検索上位に出た商品をRPPから除外することで、広告費を抑制できます。 またメルマガやSNSを活用してリピーターに宣伝することでも、広告費を抑えられます。 |
【余計なディスカウントをしない】 30%OFFでよく売れた商品があった場合は20%、10%とディスカウント率を下げていき、どれだけ売り上げが減るか分析しましょう。 思ったほど値引きをしなくても購入されるケースは十分あるため、最適な値引き率を随時検証できればコストカットにつながります。 |
RPPやメルマガについては以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひあわせてご覧ください。
【コストダウン策⑥】固定費を減らす
固定費を減らす方法としては、以下の改善策があげられます。
固定費を減らす方法 |
【ツールの見直し・内製化を検討する】 現場で全く使われていない外部ツールがないか確認しましょう。月額や年間で契約しているツールを見直すことも節約につながります。 より安く高機能なツールが出ている場合は乗り換えを検討することも費用削減につながるほか、自社で内製化できる機能の場合は開発することも一つの手段です。 |
【外注作業の内製化を検討する】 他社に外注している作業についても、自社でおこなった方がコストダウンになる場合は内製化を考えます。 ただし内製化することでコア業務に支障をきたすリスクもあるため、メンバーの負荷状況をしっかりと把握した上で検討しましょう。 |
【倉庫費用を見直す】 余計な在庫は極力抑え、保管費用を抑えましょう。 滞留在庫を抱えてしまっている場合は、楽天スーパーDEALの活用などが有効です。 |
【利用する採用媒体を変更する】 同じ媒体でも掲載箇所を小さくすることで、広告費を抑えられます。 小さい記事でも内容を魅力的に見せることで、十分に応募者を集められます。 またアルバイトや単純作業の人員募集の場合、社員媒体ではなくアルバイト媒体に出稿することで費用を抑えられます。 |
楽天スーパーDEALについては以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひあわせてご覧ください。
【無料配布!】テンプレートを使った利益計算
冒頭お話した通り、最後に楽天用利益計算の無料テンプレートを配布します。
以下のリンクからテンプレートをダウンロードして、実際に現状把握や目標利益の設定をおこなってみましょう。
初期設定は約20分、更新は約5分。
月次だけでなく、月の途中でも途中経過を確認できますのでぜひ一度ご利用下さい。
※開始月の変更や年度の変更を行う際は「実績」シートの1行目(黄色いセル)で行います
ここまでお読みいただいた方なら正しく利益計算ができるはずですので、新規店舗様や利益算出に困っている店舗様もぜひご活用ください。
楽天市場で利益を出す方法:まとめ
今回は楽天利益を出す方法について、基本的な利益計算の方法から具体的な利益改善策まで詳しく解説しました。
利益を上げる方法は「売上を上げる」「コストを下げる」と非常にシンプルですが、それらを実現するためにはECの性質や仕組みへの深い理解と細やかな戦術の実践が必要です。
ファイブスプリングスでは今回お話した利益計算をはじめ、利益改善に必要な業務効率化などについてもご相談を受け付けています。
「売上はあるが利益が出ない」「利益の算出方法があっているか不安」という方は、ぜひ一度お問い合わせページからお気軽にご相談ください。
太田 薫(おおた かおる)
株式会社ファイブスプリングス 代表取締役
元楽天ECコンサルタント、その後楽天MVP獲得店舗の統括部長。 ■無料相談■ |